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2009.01.26

「帰ってきました」と、宇宙基本計画について

 種子島から帰還しました。お騒がせしましたが、H-IIA15号機については宇宙作家クラブニュース掲示板をご覧下さい。まだ、種子島ゴールデン・ラズベリー賞が残っていますが。

 仕事が溜まっているので、ちょっと遅れますが、宇宙基本計画の件については、もう少し書きます。

この件は、無関心が一番まずいです。私の意見に賛成であれ反対であれ、なるべく多くの人が考え、自分の意見を明確にし、パブリックコメントに投稿することが必要です。

 宇宙基本法により、日本の宇宙開発は大きな曲がり角にさしかかっています。物事が大きく変わる時は、“望ましい向き”に物事を方向付けるチャンスでもあるのです。

 パブリックコメントなどしても無駄だと考える人もいるでしょう。実際、パブリックコメントを実施する官庁の側の意識は「パブリックコメントを実施することで“国民から広く意見を聞いた”という形を作る」というところにあります。

 「国民からの意見を宇宙基本計画に反映する」ことが重要なのではなく、「聞いたからね」という形を作って、自分たちの作った書類に正当性を与えることが必要なのです。議論を尽くしたことにするためには、パブリックコメントが必要——といえばいいでしょうか。
 もしも、パブリックコメントなしでも“議論を尽くした形にできる”なら、彼らはパブリックコメントそのものを実施しないでしょう。

 それでも、パブリックコメントには大きな意味があります。特に応募してくる数が、1000を超えると、それは“国民は見ているぞ”という無形の圧力となります。応募総数はとても重要です。

 なるべく多様な人々が、それぞれの意見を政策決定の過程に投げることが、今後の日本の宇宙開発にとって、決定的な意味を持ちます。

 官庁の権勢のためでも、航空宇宙産業の収益のためでも、JAXAの組織と仕事の維持のためでも、もちろん政治家の権力のためでもない、本当の意味で誰もが「宇宙を知り」「宇宙を利用し」「宇宙に出て行く」ための宇宙開発のために——個人個人はほんの小さな力であっても、実際に行使することでチャンスを拡げる方策が見えてくるものなのです。

 この件に関するネットに出てきた様々な意見は読んでいます。以後、なるべく私としても答えていきます。

 繰り返すと、私の意見に賛成、反対というよりも、より多くの人が日本の宇宙開発の未来について考え、意見を表明することが大事なのです。

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Comments

おかりなさい。
相変わらず、宇宙作家クラブ掲示板が最新情報になってしまって、過負荷でつながらなくなりますね。
相乗り衛星も、それぞれ情報公開のやり方が違って面白いものです。

パブコメはそうですね。
実績作りの方便に利用されているのも事実ですが、しっかりにらんでいることは重要だと思います。

うーん。やり方が悪いのか、いつもトラックバックが送れません...orz
私のblogでも、この議論を始めてみました。

赤木颱輔(akakiTysqe)と申します。http://b.hatena.ne.jp/reds_akaki/
松浦晋也さまは明日の東京とびもの学会には赴かれるのでしょうか。
さて
大阪府などで作る「国立産業技術史博物館誘致促進協議会」が、万博記念公園に建設構想があった「国立産業技術史博物館」に収蔵する為に二十年に亘って収集保管してきた江戸時代以降の産業資料2万数千点を、保管先の旧万博パビリオン・鉄鋼館が万博資料館「EXPO’70パビリオン」として改修される事を理由に、すべて廃棄しようしています。16日にも処理業者による搬出作業が始まるようです。
文献資料については、大阪産業労働資料館エル・ライブラリーの呼びかけと有志の尽力で保管の目途が付く様ですが、機械類などは大部分が破棄されてしまうようです。
http://d.hatena.ne.jp/l-library/20090323/1237358729
http://stroller.blog.eonet.jp/stroller/2008/11/2-6b9b.html
http://d.hatena.ne.jp/hana53/20090319/1237417236
いま大阪でこんな蛮行が行われているんだという事を、広く告知してください

以下讀賣新聞関西発
http://osaka.yomiuri.co.jp/zoom/20090313-OYO9I00253.htm
http://s02.megalodon.jp/2009-0319-1554-16/osaka.yomiuri.co.jp/zoom/20090313-OYO9I00253.htm
東京農工大から寄贈された織機(手前)など廃棄処分が決まった産業資料(12日、大阪府吹田市の万博記念公園で)=金沢修撮影

博物館頓挫で産業資料2万点余廃棄へ…大阪府など決定
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20090313-OYO1T00257.htm?from=top
http://s01.megalodon.jp/2009-0319-1556-23/osaka.yomiuri.co.jp/news/20090313-OYO1T00257.htm?from=top
 万博記念公園(大阪府吹田市)に建設構想があった「国立産業技術史博物館」用に、大阪府などで作る協議会が収集した発電所のタービンなど、江戸時代以降の産業資料2万数千点が、一度も公開されないまま、廃棄処分されることがわかった。構想はバブル経済崩壊後に頓挫し、公園内の旧万博パビリオン・鉄鋼館に保管されていたが、16日にも処理業者による搬出作業が始まる。専門家らは「日本のものづくりの歴史を語る貴重な資料。保存すべきだ」と批判している。
 府、大阪市、大阪商工会議所、日本産業技術史学会で作る同博物館誘致促進協議会が6日、廃棄処分を決定した。協議会は1986年に設立されたが97年以降は、休眠状態になっており今月末で解散する。
 資料は、関西電力や東京農工大など約30の企業や大学、個人から寄贈されたもので、江戸時代の鋳物工場で使われた木製の人力クレーンや、大阪砲兵工廠(こうしょう)で使われた機械など歴史的な価値の高いものも多い。
 協議会は、博物館構想が頓挫後、資料の受け入れ先を探していた。しかし、鉄鋼館が、万博資料館「EXPO’70パビリオン」として改修されることになり、保管場所がなくなった。
 兵庫県尼崎市が、かつて同市にあった発電所の部品を引き取り、公開を検討するほか、大阪大も一部を受け入れるが、大部分はスクラップとして処分される見通しだという。
 事務局の大阪商工会議所は「万博記念機構の厚意で無償で保管してもらってきた。倉庫を借りれば年1000万円以上かかり、保管を続けることはできない」と説明。大阪府も「財政難で新たな府費投入が許される状況ではない」とする。
 一方、廃棄処分に反対した同学会の三宅宏司会長(武庫川女子大教授)は、「資源もエネルギーもない日本が先進国入りした理由を表す物証。他にはない物も多く、寄贈してくれた方々に申し訳ない」と話す。
 文化庁は「資料の価値が十分周知されていなかったため、引き取り手が現れなかったようだ。廃棄処分は極めて残念」としている。
(2009年3月13日 読売新聞)

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