【重要】4月3日の宇宙開発戦略本部会合の資料をアップしました
2009年4月3日に開催された宇宙開発戦略本部・宇宙開発戦略専門調査会第6回会合に提出された資料を、handsout.jpにアップした。
- 【資料1-1】宇宙開発利用体制検討WG中間報告(主な論点)
- 【資料1-2】【資料1-2】宇宙開発利用体制検討WG中間報告
- 【資料2-1】基本計画骨子案の概要
- 【資料2-2】基本計画骨子案
- 【資料2-2 別紙1】主なニーズと衛星開発利用等の現状 10年程度の目標(案)
- 【資料2-2 別紙2】ニーズに対応した5年間の衛星等の開発利用計画(10年程度を視野)(案)
- 【資料3】宇宙活動に関する法制検討WG検討状況
- 【資料4】今後の検討スケジュール
これらの資料は、まだ宇宙開発戦略本部のホームページで公開されていない。これまで会議開催から2週間後にアップされていたので、おそらく4月20日前後には掲載されるのだろう。
しかし、これらの資料は4月3日の会合開催後の記者クラブ向けのレクチャーで主要マスコミ各社に配布されている。つまり機密資料でもなんでもない。
しかも話を聞いていくと、宇宙開発戦略本部から内閣官房のホームページ担当のほうには、会議当日にファイルが渡っていることも判明した。宇宙開発戦略本部には、関係各方面から「早くアップしてくれ」「なんでそんなに遅いのか」と苦情が集まっているとのこと。要するに内閣官房のホームページ担当の不手際で、掲載が遅れているのである。
この4月3日の会合では、今後5年間の日本の宇宙開発の進路を規定する「宇宙基本計画」の骨子案が提出された。これはいち早く、なるべく多くの人が読むべき書類である。多くの人が読み、自分の意見を形成していくことで、今月末から予定されているパブリックコメントに多数の意義ある意見を集めることができる。
公開が遅れるほどに、日本という国の宇宙開発全体の利益が損なわれるであろう重要な書類と言わねばならない。
そこで、内閣官房Webページ担当が行うべき仕事を、私が代行すべきと判断し、当方が入手できた書類データを、このような形でアップすることにした。
宇宙開発、科学技術政策、外交・防衛などに興味のある方は、これらの書類をじっくり読み込んで、来るべきパブリックコメントに応募してほしい。これは、私たちの税金で実施される宇宙開発の将来を決める重要な書類である。
独自有人宇宙活動がどうなるのか、「はやぶさ2」「同Mark2」が実施できるのかどうか、「かぐや」後継月探査はどうなるのか、GXロケットは、次期小型固体ロケットはどうなるのか——すべて、「宇宙基本計画」にどんな文言が盛り込まれるかで決まってくるのである。
霞が関の書類は、とにかく量が多く、読み込んでいくことが大変だとは思うが、それでもこれらは読む価値がある。
今回の資料の中で、まず読むべきはこの「【資料2-2】宇宙基本計画骨子案」である。
合わせて、【資料2-2 別紙2】ニーズに対応した5年間の衛星等の開発利用計画(10年程度を視野)(案)を読むと、今後具体的にどの宇宙計画をどう進めようと考えているかが分かる。
宇宙開発戦略本部が、現状をどう見ているかは【資料2-2 別紙1】主なニーズと衛星開発利用等の現状 10年程度の目標(案)を読み込めば一目瞭然である。
今後の日本の宇宙開発体制、特に文部科学省から内閣府へという流れは【資料1-2】宇宙開発利用体制検討WG中間報告に掲載されている。
宇宙基本法は、理念を定めた基本法であり、実際の宇宙活動に当たっては具体的行動を定めた実施法である「宇宙活動法(仮称)」の制定が必要となる。すでに官庁や産業界、さまざまな関係者は宇宙活動法の内容に自分たちの要求を盛り込もうとして活発に動いているが、宇宙開発戦略本部での議論で浮上した内容は、【資料3】宇宙活動に関する法制検討WG検討状況で読むことができる。
私の意見については別途まとめることにする。とにかく今は、一人でも多くの人がこれらの書類をじっくり読み込んで、自分なりの意見を固めていくことが大事だと思う。繰り返すが、これらは私たちの税金で実施される、私たちの宇宙計画なのである。
これらの資料公開の遅さに限らず、内閣官房の情報公開担当者は、ネット時代の情報流通を理解していないとしか思えないふしが見受けられる。
例えば、先だってのテポドン2発射の時の「北朝鮮による飛翔体事案関連情報 官邸において発表された情報を、順次掲載しています。」というページ。
一刻も早く国民に伝えなくてはならない情報を、通常のHTMLファイルではなく、1)閲覧にワンステップ必要とするpdfファイル、2)しかもわざわざプリントアウトをスキャンした画像ファイル——で、掲載している。何を考えているのやら。
某国方面からのクラッキングを警戒したのかもしれないが、ミサイルにせよロケットにせよ、打ち上げは十数分程度で終わるものなのだから、ここはいかに迅速に情報をエンドユーザーが閲覧できるかが勝負の分かれ目だろう。何が大切なのかが判断できていないという印象だ。
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はじめまして、政府の公開を待っておりましたが、適切な対応ありがとうございます。
期間が長ければ、本当に熟読できますので助かります。
このページを今晩のブログでリンクさせていただきます。
100人程度の読者なので効果は薄いでしょうが、桜目当て何人かを引きずり込めれば御の字。
Posted by: bbsawa | 2009.04.09 07:43 AM