例によってミクオリジナル曲より
アイマスMadと来れば、初音ミクオリジナル曲も取り上げないわけにはいかないだろう(自分としては、だが)。以下、この半年ほどの間に聴いて、気に入った曲である。例によって再生数がぐんと伸びている曲は避け、再生数1000から1万の間の曲を中心に紹介していくことにする。
質の高い音楽を着実にアップしてきた割に、いまひとつ再生数が伸びなかったとち-music_boxさんだが、この曲でブレイクした!スティーブ・ライヒ風のフレーズを、同じくライヒ風に繰り返していくが、細かい部分に作者ならではの工夫があり7分半の演奏時間はあっというまにすぎる。
ミクオリジナル曲は、アップテンポでビートのきつい音楽が受ける傾向がある。が、それだけだとこういう良い曲が埋もれてしまう。ソロモンPによる、静かなゆったりとした、ちょっと不思議な雰囲気の曲。
同じくソロモンPの手による、これまた静かでゆったりとしたとても良い曲。この人の曲の再生数が伸びないのは、長靴Pが1万再生あたりでうろうろしているのと合わせて、私にとってミクオリジナル曲の「2つの謎」だ。良い曲なんだがなあ。
作者のPhantasmaさんは、どうやらプロらしいのだが、ちょっと正体は分からなかった。これもゆるやかなテンポであるというだけで損をしているとしか思えない、しっとりとした曲だ。
同じPhantasmaさんの曲だが、こちらはそれなりの再生数を集めている。テンポがアレグレットぐらいまで早くなっただけなのだけれど。これも、「いいから聴いてごらん」とすべての人に勧められる曲だと思う。
クヌースP(P名からして理系と分かる)による、1980年代半ばぐらいの坂本龍一を思わせるテクノポップ。アップテンポでビートも効いているが、こちらは「テクノポップ」というだけで、損をしているような気がする。おーい、ニコ厨たち。はやりのアニメっぽい音楽だけが音楽じゃないぞー。ちなみに題名のアナライザーとは、佐渡医師の助手を務める赤いロボット…ではなくて、明らかに計測機器のFFTアナライザーのことだろう。理系萌えというか、理系擬人化というか、そういう歌詞。
仏教ロック「舎利禮文」でニコ厨に衝撃を与えた鉄風Pの、これはまた見事なまでに内省的な曲。曲の出来は、「舎利禮文」に勝とも劣らぬ、と思えるのだけれど、どういうわけか再生数が伸びていない。北杜夫の「どくとるマンボウ青春記」や、自伝的要素を持つ「楡家の人々」を読んでいると、さらに楽しめるだろう。クヌースPが「理系ポップ」なら、こちらは「文芸ロック」というべきか。以前から主にインディーズで「文芸ロック」を標榜したグループはいたわけだけれど。
アルゴリズム・ミュージックという分野がある。あるアルゴリズムを最初に設定しておいて、それに沿って音を発生させていくというものだ。乱数Pによるこの曲は、アルゴリズム・ミュージックの範疇に入るのだろうが、曲の基本となるアルゴリズムが「乱数」なのである。音の高さも長さも乱数。歌詞も乱数。それなのにけっこう面白く聞けてしまうのはなぜなのだろう。
発想としては、ジョン・ケージの「易の音楽」などと同じだが、こういう曲がさらっとアップされているのも、ボーカロイド曲の面白いところだ。
これは、音楽単体というよりもコラボで付いた映像との組み合わせがなかなか良い。マッド・サイエンティストをテーマにした曲というと遊佐未森が歌った「M氏の幸福」を思い出すが、この曲には「M氏…」のようなちょっと湿ったリリシズムはない。むしろ、「みんなのうた」的な明快さ、明朗さを感じさせる。
その遊佐未森っぽい、というより初期の遊佐に曲を提供していた外間隆史の影響を感じさせる曲。初期の遊佐未森のアルバムに入っていてもおかしくないような雰囲気だ。
ジンジャーPによる、ジャズっぽい軽快な曲。ジンジャーPという人は本当に多芸多才で、超絶技巧のピアノ曲を書いてMIDIで演奏してみたり、物理シミュレーション言語Phunでピタゴラスイッチのような仕掛けを作ってみたりして、人気を集めている。この曲などは、きっと手すさびで書いているのだろうと想像するのだけど、それでも完成度は高い。
ちなみにこちらは、ジンジャーPによる超絶技巧ピアノ曲。「弾けたら千手観音」というタグがついている。
最後に、オリジナルでもミクでもないが、本当にびっくりしたので紹介する。古賀政男の曲ばかりをアップしているこがうたPによる「いとしあの星」。オリジナルは渡辺はま子が歌っていた。
なんでルカの歌声はこんなに古賀メロディに合うのだ??
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