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2009.07.30

夏コミ、風虎通信の新刊は「スカッドミサイル」本

 知る人ぞ知る、少部数個人出版で、コアな宇宙関係の本を出している風虎通信だが、この夏のコミックマーケット76の新刊情報が出た。
 版元の高橋さんが、文林堂(「世界の傑作機」の出版元)の許可までとって続けている宇宙機の詳細分析シリーズ「宇宙の傑作機」、この夏は「スカッド」である。宇宙開発関連情報は、なかなか商業出版には乗りにくい。風虎の高橋さんは、個人出版とコミケという場を活かして、「みんなが知っているべきだが、なかなか商業出版では流通しにくい情報」を、世に問うてきた。


 風虎通信は、3日目日曜日に出展。ブースは西館の「へ01b」。初めての方はコミケットカタログを事前購入し、ブースの位置を確認すること。

日曜(16日)西へ01b「風虎通信」
「宇宙の傑作機別冊 スカッドミサイル」
著者:水城徹(宇宙機エンジニア)

 著者の水城さんのコメントは以下の通り。

 弾道ミサイルの代表格となったスカッドことR-11/R-17ミサイルと、その派生型を一挙取り上げます。勿論北朝鮮のアレコレもガッチリやります。もうスカッドの推進剤について思い悩むのはお終いです。……そんなこと思い悩んでいたのは私だけですか?

 宇宙機でも宇宙用打ち上げ機でもないミサイルの筈ですが、これが思いの他宇宙開発に接近します。イラン(ガチで宇宙開発しています)、イラク(実は衛星打ち上げ機を開発していました)、そして話題の北朝鮮のアレもきっちり考察します。その来歴、派生型も過剰なくらい網羅しました。兵器としての側面もしっかり抑えます。そして、政治的側面も……

 ミサイルとロケットの区別がつかない人、民生機と兵器の区別がつかない人、根拠無しに区別している人、弾道ミサイル技術の基礎が知りたい人、第三世界の液体ロケット技術の拡散を概観したい人、確かな情報から自分で計算、考察してみたい人、そういう人に一読をお勧めします。

 今回、この場で。コミケ初心者向けの簡単なガイドまでして、風虎の新刊を案内する理由は、このソビエトのミサイルに始まる宇宙開発の系譜を知ることが、今後の日本宇宙開発を考えるにあたって大変重要だと考えるからだ。

 最近になって、よく「日本は中国に追い抜かれた、インドに追い抜かれる」という議論を聞くようになったが、インドに抜かれたところで日本の地位低下がお終いと思ったら間違いだ。その後にはイランがいるし、パキスタンがいるし、インドネシアがいるし、韓国がいる。もちろん北朝鮮だっている。かつてはイラクもいた。つまり、21世紀に入ってから、宇宙開発の多極化が急速に進行しつつある。うかうかしていると、日本はこれらの国々にも抜かれることになりかねない。

 そんな宇宙開発でキャッチアップを望む国のいくつかで、結果として技術の基盤となったのが、このソ連に起源を持つ「スカッドミサイル」なのである。21世紀の日本の宇宙開発戦略を考える上で、「スカッド」に関する知識は避けて通れない。

 それと、この4月の北朝鮮のロケット発射で、大騒ぎをしたマスコミ各社、特にニュースやバラエティで情報収集を担当している者は、ぜひともこの本を入手して、事前に読んでおくべきだと思う。

 どうせ北朝鮮はまた大型ロケットの発射実験を行うだろう。

 この本を読んでおけば、その都度「よくわからないんですが…」とあちこちに電話をかけずに済むし、専門家により的確な質問をぶつけられるようになるはずだ。

 なお、風虎通信では、この夏、もう一冊の新刊を用意しているそうだ。こちらも、入稿を確認でき次第、こちらで紹介することにする。

 マスメディアは、コミケをただのオタクの祭典と思ってなめていると痛い目に合うだろう。確かにその性格は非常に強いが、コミケの恐ろしさは「なんでもある」というところにある。私はあの会場で、たとえ情報収集衛星関連本が売っていたとしても驚かないだろう。
 ただし、擬人化されている可能性はあると思うが。

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Comments

でもコミケ行くとオタクおおいじゃん。
オタクってきもいんだもん。

電子書籍販売やネット公開してくれれば読みやすそうですね。

コミケには行けないけど欲しい方は神保町のくだん書房に通常であればコミケの後で少数入荷します。ただし入荷しても売り切れるのも早いし、コミケ会場で売り切れてしまうケースも過去あったので必ずでは無いです。入荷したら取り置きしておいてくれるように依頼しておけば入手できる可能性は高くなります。宮地@くだん書房の回し者

> オタクってきもいんだもん。
 コミケのCDROMカタログでは、松浦さんのお名前も出ますねー。
(名目上かもしれませんが)

 場所(エリア)確認させて頂きました。是非とも!

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