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2010.04.06

宇宙開発戦略本部、今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議第5回会合 泉内閣府副大臣記者レクチャー 宇宙庁という言葉が出てきた

 有識者会議の第5回目。今回、初めて「宇宙庁」という具体的名称で、宇宙開発全般を統合する組織を創設するという話が出た。ただし、有識者会議メンバーは、従来型の官庁を作るという意識は希薄な模様。比較的少人数で、しかもメンバーは各官庁からの出向者ではなく、最適な人員を広く集めるということを意識している模様。かつ、予算権限を一括集中し、省庁横断で、機動的に政策を進めることができる組織を考えているようだ。

 いままで新官庁を創設するとなると、既存官庁が、影響力を求めて出向ポストの取り合いをし、出向者の出身別の勢力拮抗によって新官庁の性格が決まっていた。そのようなことにはしないという意志があるように見受けられた。

 4/20に前原大臣に提出される提言には、「宇宙庁創設」が含まれることは間違いない。ただし、具体的にどのようなタイムスケジュールで創設を行うかまでは盛り込まれないようである。


第5回会合の資料


今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議第5回会合ブリーフィング

2010年4月6日午後6時半~
内閣府本府118記者会見室


 午後6時40分、泉政務官登場

 今日は午後4時40分~5時40分のスケジュールで開催。有識者委員は全員出席。副大臣だけが欠席。資料にあるように体制について話をした。前原大臣からは、山崎さんのシャトル搭乗で喜びを分かち合う言葉があった。泉からは、先般のタスクフォース会合で対人数を集めて宇宙関係者全体による論をしてもらったことに礼を言った。

 欧州は民需が活発。日本でも欧州型の産業構造を生み出していくべきではないかという意見が出た。

 これまで、日本の宇宙開発は、開発研究に重きが置かれていた。それを変えるべく宇宙基本法が制定され、宇宙開発戦略本部が組織されたが、いまだ戦略本部は宇宙政策を推進するエンジンとして機能する至っていない。早期の体制構築が重要。
 例えば農水省、農地調査は実地調査よりも衛星を使ってやったほうが低コスト。しかし、ほとんどの官庁では衛星利用について構想したことすらないのが実情だ。

 一例として、ドイツのアウトバーンの長距離トラックに対する自動課金の仕組み。測位衛星を利用して、ETCゲートなしでの課金を可能にしている。

 官庁の宇宙利用を進めるにあたっては、企画立案を行う部門(松浦注:新設する宇宙庁のこと)が必要。大人数である必要はない。欧州の測位衛星システム「ガリレオ」の中核は5人。同じく欧州の地球観測衛星システムGMESは2人。あまり大人数で意志決定をしても仕方ないのではないか。

 ポトフォリオとバランスを考えた全体戦略を考え、日本全体の宇宙政策を策定・推進する必要がある。そのための人材を育成しなくてはならない。

 現行の宇宙基本計画は年間5000億円規模の政府予算を想定して策定されている。しかし、現在の予算は3000億円規模。なるべく民間の裾野を広げ、民間が利用しやすい土壌を作ることが大切。

 資料5-1にあるように、宇宙庁への権限一元化。有識者の意見は、この方向。


 以下、質疑応答。

日経新聞
 この案は、座長案か。有識者会議でコンセンサスがとれているのか。」


 有識者委員はお互いに緊密に連携している、彼らの意見は一致している。

東京新聞
 今日の議論で、JAXAの所管問題や、宇宙科学などJAXA内の組織をどうするかは出たか。

 出なかった。これまでのJAXAの活動を否定するのではない。現在のJAXAに営業部的組織を付けてもうまくいかないだろう。なにかしら別の組織を考えて、これまでの成果を生かすほうがいいのではないか。

東京新聞
 新体制への移行の具体的スケジュールは?


 スケジュールはまだ出ていない。今の戦略本部でも、組織を強化してきることもあるのではないか。3300億円の現在の予算をどう使うかも含め、その中に従来型の研究開発も」位置づけられているようにしたい。

読売新聞
 来週出る提言の原案には、宇宙庁を含めて組織論が入ってくるのか。


 公務員の世界の色々な制約がある。例えば局の数や定員の問題があるので、新組織創設の実務的には役所の皆さんが考えるべき問題がある。

読売新聞
 民主党の新成長戦略に向けての施策を打ち出すわけだが、そこに組織をこうするべきという意見も入れるのか。


 このような施策のために、このような体制が必要という書き方になる。

日経新聞
 新成長戦略は2020年までの工程表が必要としているが。


 今は、2020年でのあるべき姿を書いている。具体的にどうやって組織を作るかは書いていない。

毎日新聞
 民間との協力体制について。どういう形になるのか、


 色々な議論がブレスト的に出ている。半官半民というとイメージが悪いが、政府と民間で株式会社を作るとか。それぐらいの営業感覚を持って日本の宇宙資源を売り出していく必要はあるかという意見は出ている。

読売新聞
 今5000億という数字がでたが、現状から増える2000億円は民間に出してもらうということか。


 そのあたりは予算の使いようだろう。同じ予算でももっと民需に結びつく使い方もあり得るというのが有識者の皆さんの意見だ。すべて政府が出資するというのではない環境を作れるのではないか。

朝日新聞
 前原大臣から、体制に対する意見はあったか。


 宇宙庁かどうかは別にして、日本が宇宙産業を世界に全面的に押し出していく体制は必要だという発言はあった。

NHK
 来週の提言では、例えば文部科学大臣との事前の調整はやるのか。



 今のところ有識者会議は宇宙担当大臣に提言を出すもの。事前にどこまで文部科学大臣と調整するかというと…文部科学大臣も定例記者会見でその質問を受けていて、「それは宇宙担当大臣が行うことだ」と答えている。

 有識者会議にはいつも前原大臣が出ているので、提出される提言には、それなりの重みはある、と、理解している。

 以上。

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