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2010.07.08

自分の意志で未踏の世界に挑む

 昨夜、秋葉原・3331 Arts Chiyodaにおけるイベント「宇宙酒場」に参加してきた。ご来場の皆さま、どうもありがとうございました。
 しかし、自作曲からコスプレ、フリーソフトにだだ漏れ中継にTwitter、いかに多くの人がはやぶさに興味を関心を持っていることか——「宇宙酒場」というイベントで、私は昨今の盛り上がりを再確認した。

 あの場でも話したが、昨今のはやぶさを巡る状況は、まさに前代未聞の規模だと思う。これを超える宇宙ブームがあったとするならば、アポロ11号の月着陸の時ぐらいではないだろうか。はやぶさは無人の探査機だが、日本人宇宙飛行士が飛んだ時も、これほどの盛り上がりはなかった。

 1990年に秋山豊寛さんが飛んだ時は、メディア企業であるTBSが社を挙げて盛り上げようとしたが、今回ほどではなかった。1992年の毛利衛さんのスペースシャトル搭乗時は、科学技術庁と宇宙開発事業団がずいぶんと広報に努めたが、それでもはやぶさほどではなかった。
 今まで、宇宙開発の世界では、宇宙飛行士こそが人々の最大の関心を集める広告塔であるという認識があった。だが、どうやら間違っていたらしい。

 はやぶさが、宇宙飛行士が宇宙に行く以上の興味と感心を集めている理由はいったい何なのか——はやぶさのミッションの強烈な物語性もあるだろうし、擬人化ブームもあるだろう。
 でも、私としては、「自分の意志で未踏の世界に挑んだこと」を挙げたい。誰かに連れていってもらうのではなく、自分の意志で困難な課題に挑戦し、未踏の世界に赴いて、成果を出したこと——この事実が、多くの人々の心を鼓舞しているのだと思う。


 短いですが、所用があるのでここまでで一度アップします。今晩遅くに追加するかも知れません。

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Comments

更新お疲れ様です、ニコ生で見ました。頻繁に配信が止まり困りましたが、楽しく視聴できました。
個人で行動を起こされ、中継、作品を作られた方々に感激しました。
ただ、リアルタイムで共有できる良さを感じる一方で、一部でいがみ合いのような
事が起こると個人攻撃に発展したりして、難しさも感じます。
前向きな議論ができると良いのですが…
はやぶさ2だけが成功すれば良いとは思いませんので、宇宙科学全体が盛り上がる
事を願いつつ、勉強し静かに応援したいと思います。

現実の冒険、 だからでしょうか。

ゲームや書籍なら いくらでも創れるし、やり直しもできます。
だって、探査機のゲーム作ったって、だれもやらないでしょ?

ISSは安全が絶対条件ですので、決まった軌道からの逸脱は許されません。
技術の積み上げが目的ですから、冒険とは対極ですよね。

私がいちばんしっくり来たのは、
しきしまさんの「一緒に冒険を探しに行こう」の一節ですかね。

ま、冒険には「魔法」がつきものでして、 今回の冒険も例外ではない様ですね。
2005/11月、淵野辺に集まった老獪な賢者達は、二本の指を高くかざす老魔道師に
容易には解けない魔法をかけられてしまいました。
かたや、「おやぢのVサインなんか、電波に乗っけられるか!」と、
駐留せずに現実的な対応をした導師は難を逃れました。

かくして、2010/06/13 魔法にかかった賢者達は「投槍器の砂漠」へと向い、
現実的な導師達は 蹴玉の広報に勤しみました。

どちらも同時期に盛り上がり、高揚を残したまま収束しましたが、
あの魔道師の指2本が 報道業界を分かつ超強力な魔法であると誰が想像しえたでしょうか。        
・・・魔法恐るべし。(笑

スゴいっ、、、smdさん。私は言っていることが何となくですがわかります。こんなコメントが欲しかった。
何か、たくさん彼方此方らに流されたメイルであるとか、予算がどうとか言ってらっしゃる関西の大学の先生とかのお話がありましたが、あまりにも嘘っぽくて私には受け入れ難かったのです。
サイエンティストなどと謳いながら、予算がどうこうとか、何ヒトなんだろうと思ってこちらを覗いていました。前回、私が疑問を持ったのは、ここに実際に研究に携わっておられる方が居ないのではと思ったからです。私の周りには、ここはダメだよと言う方がいらっしゃいましたので、注意しながら距離を置きつつ眺めていたのですが、多数の方々のコメントはとても私には深く響いております。ありがとうございます。まったく受け入れ易いサイトであると感じ入っております。
月面探査は、ここにおかれましては、それを煽る方々の謀略のように思えます。松浦さんや和歌山大学の秋山さんなどは結果的にはそれを望む姿勢に見えてならないのは素人の私以外にはいないのでしょうか?言わなくても良いのに。理由は有ります。

>今まで、宇宙開発の世界では、宇宙飛行士こそが人々の最大の関心を集める広告塔であるという認識があった。だが、どうやら間違っていたらしい。

間違っていたということはないでしょう。秋山氏や毛利氏を始めとしたNASDA/JAXAの「宇宙飛行士」がはやぶさほど注目を浴びないのは,(極論を言えば)「お客さん」だったからだと思います。旅行者ではあっても,冒険家や探検家ではなかったからでしょう。

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