山川宏京大教授、宇宙開発戦略本部事務局長に就任
今日のはやぶさの回収したサンプルに関する記者会見は、大した話は出てこなかった模様。この件はライターの大塚実さんが、適宜Twitterで伝えている。次回以降の記者レクチャーは不定期になる模様。
今日は驚きの人事があった。宇宙開発戦略本部の、有識者会議委員である山川宏京都大学教授が、宇宙戦略本部事務局長に就任した。
- 人事・内閣官房(日経新聞)
内閣官房(20日)宇宙開発戦略本部事務局長、山川宏▽内閣参事官、志村仁
山川事務局長は、宇宙研の出身。打ち上げられなかった月探査機LUNAR-Aや、苦闘の末に探査を断念した火星探査機「のぞみ」の軌道計画、小惑星探査機「はやぶさ」の計画検討などに携わり、日欧共同の水星探査機「ベピ・コロンボ」のプロジェクト・マネージャーを務めた。その後、京都大学に移り、有識者会議では、中須賀真一・東京大学教授や秋山演亮・和歌山大学教授と共に、今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議 提言書をまとめる原動力になった。
卓抜した頭脳と行動力とで、いずれは日本の宇宙科学を背負って立つと嘱望されていた人物である。
宇宙開発戦略本部事務局長は、従来の霞が関パターンでは、文部科学省出身者が占めるべき職であった。しかし宇宙基本法制定の立役者であった、戦略本部設立時の河村健夫官房長官が文科省離れの強い意向を示したことから、経済産業省出身の豊田前事務局長が就任したのだった。
私は各方面から、「豊田さんの次は文科省が狙っている」とか「次は文科省ということで経産省と文科省の間で手打ちができているのではないか」というような話を聞いていた。いずれのソースも「次の事務局長は文科省出身者の可能性が高い」という点は一致していた。
それが、有識者会議の山川教授就任となったのにはどういう意味があるのか。当然官僚側は反発するだろう(事務局は各省庁からの出向者で構成されており、事務局長も各省庁の勢力を象徴する椅子の一つである)から、そこには前原大臣や泉政務官の強い意向が働いたのだろう。通常、この時期の官僚人事は7月1日発令だ。20日発令ということから、相当な議論があったのだろうということが伺える。
政治の側からすれば、山川事務局長就任は、「有識者会議の提言に沿って宇宙政策を進める」という意志を示したことになる。官僚の側からすれば、落下傘降下でトップが降ってきたということになる。降ってきたトップがぶつかる事態は常に一つ。面従腹背だ。
山川事務局長を周囲がどうサポートし、伸び伸び仕事ができる環境を作るかが、今後を決めることになる。
これから、日本の宇宙政策に大きな変化が起きる予感がする。
否、起こさねばならないのだろう。
もう一人の人事、志村仁参事官については、私は詳しい情報を持っていない。志村氏は財務省出身のようだが、これが財務主導を意味するのか、政治側の任用で財務出身者が来たのか。今後の動きに注目する必要がある。
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