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2010.07.13

宇宙開発委員会、毒饅頭、一の太刀

 明日7月14日の宇宙開発委員会で、はやぶさ2が議題に取り上げられることになった。

    3.議題
    1. 小型ソーラー電力セイル実証機「イカロス」の運用状況について
    2. 宇宙開発に関する重要な研究開発の評価 小型固体ロケット(イプシロンロケット)プロジェクトの事前評価について
    3. 宇宙開発に関する重要な研究開発の評価 はやぶさ2プロジェクトの事前評価について
    4. その他

 明日の宇宙開発委員会では、何がでてくるのか。

 はやぶさ2は、JAXA内で7月中にシステム定義審査(SDR)という審査を通過しなければならない。審査自体は開催される運びのようだが、SDRは予算化前提だから、「SDR相当の審査」にすべきだとか、色々外部からは良く理解できない話が聞こえてきている。はやぶさの劇的な帰還と世間の前代未聞の盛り上がりにも関わらず、はやぶさ2の前途は多難なようである。

 取材の過程で、「毒饅頭」という言葉を聞いた。「巨大な予算を使う科学計画は、科学のコミュニティにとって毒饅頭の側面を持つ」というように使用する。
 予算がもたらすのは予算なくしては実現不可能な研究、予算が奪い去るのは研究の自律性と研究者の自由だ。これらを天秤にかけた時、「毒饅頭」という言葉が出てくる。

 科学が本質的に自由と自律を必要とするのは間違いない。だが、科学が社会と関わっていくとなると、「科学の自由や自律などまったく重要だとも思っていない政治や官僚」や、「そもそもそんな言葉を知らない一般」に臨むことになる。

 毒饅頭を自分が食べれば悶絶する。しかし、それを使って罠を作れば鹿だろうが熊だろうが倒すことができる。要は使いようと意志だ。ましてや、はやぶさは、長年米ソ欧の後塵を拝してきた日本がやっと、世界に対して、そしてなによりもこの太陽系に対して浴びせた一の太刀なのだ。
 月以外の他天体への往復飛行を達成したのは、はやぶさが世界初なのである。今、私たちの前に道はない。後に道はできる。高村光太郎が畏怖と希望と共に書いた詩句と同じ状況が、眼前に拡がっている。

 私は、「これを生かさずして、なにを生かすというのか」と思っている。

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Comments

 そもそもそんな言葉を知らない一般、
ということで思い出されるのは、どこかの国の靴売りの話です。

 ある人は、皆が靴を履いてないので途方に暮れたそうですが、ある人は、皆が靴を履いてないのでとても喜んだとか。

 毒饅頭も、身内で食うから濃い毒で、薄めて国民に配れば美味しい味付けです。ふらっと来るのを丸の内で待っていても、靴は売れないし、薄まらないのではありませんか。


上記コメントの方に一言。

 お考えになっている状況は、例えば訪問者が1日当たり2-3人、それも何日も間が空いて、ということでしょうか?

 1日当たりJAXAiに何人訪れているのか、御調べになられることを期待します(知っていて敢えてそう言われているのならば、これ以上のコメントのしようはないと思います)。

 私としても、松浦さんと同じく、ぜひ正式なプロジェクトへの移行を期待したいです。

考えている状況は、予算は国税から出て、北海道から沖縄まで国民がいる、ということです。

「JAXAiに何人」という見方は、都民向けなら正しいと思いますが、「国民」向けとしては厳しいものがあるのではないでしょうか。

国が、国-地方-国民つながりでやっていて、それが地方分権の時代に向うなら、
科学も、地方と連携して国民の理解を得ていくほうが、時代の流れに沿うような気がしませんか。

 JAXAiを訪れているのが都民だけ、という前提は間違っています。
 なぜなら、私自身も地方に拠点を置いているからです。

 とはいえ、最後の2行に関しては同意です。そして、JAXA自身もそのための努力をしています。現状、今以上のことをやれなどとは、少なくとも私には言えそうにありません(人手不足で、多くの業務を兼務されている方がとても多い。中には、過労で倒れた方すらいる・・・)。
 私自身は、そのような圧力をかけるのではなく、出来るだけ必要な研究に集中できるように、職員にたくさんの仕事を抱えさせるべきではない、と思います。

中国地方の片田舎に住む身としてはJAXAiはあまりにも遠い・・・
これまでの人生で東京は1回だけなので割合からするともう1回だろうか。

行くか行かないかは個人の勝手で東京往復の金も無いぐらいギリギリの生活
でも無いだろうと言われたら返す言葉も無いが、そういう人が有権者の残り
2/3だということは気に留めていただきたい。

内之浦でマグロの漁を止めて打ち上げに協力してくれた漁師さんの何割が
カプセルを見ることが出来るのだろう・・・

 Fujixさん。
 それでは、巡回展を依頼してはいかがでしょうか?
 JAXAにも、確かにお役所的なところはあるし、その点は改善をしてもらいたい、と感じることはあるわけです。
 もっとも、今回の『はやぶさ』に関しては、ほぼ全国的な規模でミッション関係者が動き回っているし、中には移動しながら(市立科学館などで)講演を実施されている例もあり、その中のいくつかは私もフォローしてきました。

 あまり時間がたつと、どこかの展示施設に永年展示となるでしょうから、早いうちに要望を出されるのが良いでしょう。
 依頼するには、最寄りの科学館などを通じて、カプセルを展示してくれ、と要望を出すのがよろしいのでは?一人二人程度では難しいでしょうが、多数要望が集まれば、担当者も動いてくれる可能性はあります。

何もアクションを起こさずに不平だけを吐き出すのは嫌いなので、何かできる
ことはないかと考えていました。
私の職業は教育関係(PTA含めて)でもなく、何か宇宙につながりのある
業種でもないので途方にくれているところではありますが、市の科学施設に
お願いをしようと思います。

しかし去年自分の住む町でタウンミーティングがあったのを最近になって
知って激しく後悔したりする程度のボケぶりで恥ずかしい限りです。

私としては宇宙科学だけでなく考古学でもなんでも、最前線を子供に近づける
というのが多大な価値を産むと信じています。

 今年のJAXAタウンミーティングで中国地方に一番近いのは、鳥取県米子市での開催ですね(会期未発表)。

 私自身は東海居住ですので、東京開催のイベントに向かってしまい、厳密には地方とは言いがたいのですが…^^;。

 一応、沖縄では沖縄通信所が近く特別公開ですし、北海道には大樹町(帯広市の南方)の大気球ステーションがあって、航空宇宙展などが開催されています。

 いでさんの言われるような、47都道府県での展開という状態にはまだまだ遠いかも知れませんが、JAXAの活動も、温かく見守って戴ければ、と思います。

Fujixさん

>去年自分の住む町でタウンミーティングがあった

倉敷市の方でしょうか。
岡山県立児童会館にて,HAYABUSA - BACK TO HE EARTH - が上映されることになったようです。上映期間予定: 2010年8月1日(日)~10月31日(日)
上映館情報はこちら。http://hayabusa-movie.jp/theater.html
配給はこちら。http://www.libra-co.com/

また,「市の科学施設にお願い」をされるのでしたら,JAXAでは1/8スケールのはやぶさを始めとした展示用模型の貸与を実施していますので,企画を提案されては?
http://www.jaxa.jp/pr/model/index_j.html

情報ありがとうございます。
HBTTEは発売から間もない時にDVD版を買って知り合いの子などに
見せて回ったりしています。プラネタリウムで見るとまた違うんでしょうね。

ライフパークでも何か考えているようですが、すぐにどうというものでも
ないようで・・・。まあ元々の予定とか予算とかあるでしょうから。

公的なイベント(国でも地方でも)の告知ってなかなかうまく浸透しませんね。
私の興味のすべてが宇宙関連で、常にアンテナを張っているならともかく、
まあ宇宙に限った話ではないんですが・・・
この前も近所の考古館に行ったら閉鎖前の最後の月で、行くまで知らなかった
ということがあったり。
イベント情報が集積されたポータルサイトって欲しいなあと思ったりします。

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