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2010.07.29

月探査に関する懇談会から最終的な報告書が出る

 今日は月探査に関する懇談会の第9回会合を傍聴に行く予定だったのだが、ついにダウンしてしまった。5月からこっち一日も休みなしになにかしらをやっていた結果である。身体も精神も2〜3日の休養を要求しているが、その時間がとれない。貧乏暇なし。

 今日の会合の様子は、有人ロケット研究会事務局長の大貫剛さんがTwitterに書いており、すでに月懇談会会場なうというまとめも出来ている。大塚実さんも傍聴に行っているので、すぐにまとめが掲載されるだろう。

追記:大塚さんによる速報版報告が出た。月探査に関する懇談会 第9回会合(速報版):大塚実の取材日記

 すでに宇宙開発戦略本部のページには月探査に関する懇談会 第9回会合 議事次第として、本日配布された資料が掲載されている。報道機関は以下のようにこの件を伝えている。

 分析を書きたいが、時間がとれない。

 ざっとみた印象では、みんなでわーいと諸手を挙げて、月探査という破局に突き進むのはぎりぎり回避できたかなという印象だ。相変わらず「日本の月探査はアメリカに触発されたものではない」というような自己欺瞞だとか、「2020年に南極に無人基地」というような「サイエンスとしてほんとうにそれでいいのか、もっと議論すべきではないか」といった記述も残っている。それでも、若干正気に戻ったかというように読める。若干ではあるが。
 資金規模については、「2015年頃までに約600〜700億円程度」「2020年頃までに累計約2000億円程度」、月探査に必要な研究開発について、「2020年頃までの資金規模としては、900億円程度と試算。(なお、その後の実機規模の研究開発のための第2ステップには、数千億円規模を要する見通し)」と書いている。2400億円と書いていた前の案からするといくらか少なくなった。
 この数字を予算獲得の武器として一人歩きさせずに、アメリカの有人月計画なき今、全体計画の中にどうやって月探査を位置付けるかが、今後の宇宙開発戦略本部の仕事となる。

 以上、取り急ぎアップする。


 アマゾンでも買えることに気がついたので掲載する。この週刊ダイヤモンド6/12号に、現在の日本宇宙開発が抱える問題点についての記事を書いた。月探査に関する問題点も指摘している。



 JAXAが出した日本宇宙産業を総括したムックだが、実は記事のかなりの部分を、無記名ながら大塚実さんと私が書いている。現状を知らなければ問題点の把握もないわけで、今の日本の宇宙産業がどうなっているかを見通すことができる一冊である。


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Comments

ご紹介頂きありがとうございます。

付け加えますと、今回ははやぶさの話が異様なほど多く出ました。資料を見てもわかるとおり、「はやぶさをはじめとする太陽系探査を十二分に尊重した上で、月探査が重要だと考えているんですよ」という官僚的な言訳じみた文脈を感じた一方、委員からは「国民に感動を与え、子ども達に未来を見せる宇宙開発の役割を再確認した」「月探査の予算が太陽系探査を圧迫しないよう、充分な予算措置を」といった意見が相次ぎ、今後の山川事務局長の舵取りに全てが委ねられたという印象を受けました。

「恐るべき旅路」も重要な「はやぶさ本」の一冊だと聞いています。
amazonで手に入らないことは無いのですが、非常に高価な上、
仮に購入しても著者へ還元されないので、購入できずにいます。
出版社が清算されてしまったので難しい面もあるのででしょうが、
再版されると良いのですが。

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