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2010.08.20

第5回MMD杯、そして水木しげるの戦記マンガ

 MikuMikuDanceというソフトがある。ニコニコ動画で、そのソフトを使った映像を競う「MMD杯」というイベントがあり、第5回が始まった。

 そこになかなか素晴らしい宇宙関係の画像がアップされている。


 最後まで見るとそこには…

 テーマとなっているSOMESATはニコニコ動画発の実在の衛星計画である。



 毎日新聞がはやぶさブームを扱った特集記事を掲載している。


 おさえるべきところを押さえているな、という印象。はやぶさカレーうどんは、是非とも記者自身が食べてみるべきだったかと。私のコメントも掲載されている。


 NHK朝の連続ドラマ「ゲゲゲの女房」関連で、何冊か水木しげるの戦争物を紹介する。ドラマを単なる夫婦愛の物語としてみている人が多数だろうが、水木しげるは戦地で片腕を失った戦争体験者であり、自らの体験に基づくマンガも多数描いている。そこには、軍隊の最下層を体験した者にしか描けないリアリティがある。



 まずは、この「総員玉砕せよ!」を。水木しげるを、妖怪マンガでのみ知る人は、なによりもこれを読むべきだ。赤紙招集された兵士の視線で、出征から戦地の生活、戦闘、そして強制される玉砕に至るまでを描いている。その実に簡単に人が死ぬことといったら。恐ろしいまでのリアルな戦争が、あの緻密な背景と、簡略化されたキャラクターとで展開する…なんというべきか…傑作・駄作を超えたオンリーワンの作品だ。


 「総員玉砕せよ!」は、2007年にNHKでテレビドラマ化された。それがこの「鬼太郎が見た玉砕~水木しげるの戦争」だ。傑作。特に主演の香川照之の演技が素晴らしい。私は、彼が描くあの「ビビビ」というビンタが、映像になるとこうなるのか、と妙なところで感心してしまった。







 こちらは自らの戦争体験を娘に向けて語った一冊。凄惨な戦場の様子と抑圧に満ちた軍隊生活が、なぜか水木の視線を通すと、どこかぽかんと抜けた印象になる。この人は、やはり他と隔絶したパーソナリティの持ち主なんだと納得する。なにしろ、現地の人々に馴染んでしまい、敗戦後の帰国にあたって「現地除隊したい」といったというのだからすごい。「一度帰って親の顔を見てからでも遅くはない」と説得されなければ、水木しげるはマンガ家にはならずに、ジャングルの奥に元日本兵として暮らしていたかもしれないのだ。







 その体験を、あくまでマンガとして描くとこうなる。水木しげるの戦争マンガは単なる教条的な反戦マンガではない。理不尽やつらいこと痛いこと悲しいことひもじいこと、すべての苦しみを受け止めて静かな怒りを燃やしている。それは本書収録の「幽霊艦長」を読んでも分かる。あたかも「白鯨」のエイハブ船長のように、戦闘に執念を燃やす幽霊艦長のような人物像を、彼はどこかで実際に見たのかもしれない。




 個人的感覚なのだけれど、戦後日本のマンガ史は、手塚治虫が得意とした「2人の男」という形式で描きうるのではないかと思っている。すなわち、手塚治虫と水木しげる。本土で空襲を経験し、アメリカ文化に憧れ、若くしてデビューして成功を収め、アニメーションへと手を広げていく手塚治虫。従軍して片腕を失うという過酷な体験を経て、描いても描いても売れないという貧乏を経験して40歳を過ぎてから一気に売れっ子となり、土着の感覚のままに異世界との交感を続ける水木しげる——というような。
 それこそ、「火の鳥・鳳凰編」「未来人カオス」「アドルフに告ぐ」といった手塚作品と相似ではないだろうか。手塚は茜丸で、水木は我王か?


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 直しておきました。指摘ありがとうございます。

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