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2010.08.14

8月14日のはやぶさとは限らずあれこれ


 コンピューターOS「TRON」の専門誌「TRONWAEE」の最新刊124号が、宇宙で使われているITRONの特集をしている。ITRONは制御用組み込みOSで、宇宙でもはやぶさを初めとした様々な宇宙機の制御に使用されている。


特集1 未来へのミッションを乗せて宇宙を駆けるTRON

* 人工衛星はなぜ回る 〜TRON系OSが支える高度な制御〜
* 打ち上げ成功!金星探査機「あかつき」
* あかつきと同時打ち上げ「IKAROS」
* [コラム]Space CubeアーキテクチャとSpaceWire
* 帰ってきた小型惑星探査機「はやぶさ」
* 宇宙の謎に迫る天文観測衛星


 TRONWAREはソフトハウスであるパーソナルメディアが出しているTRON専門誌。TRONは色々毀誉褒貶の多いプロジェクトだが、ITRONに関しては成功したといっていいだろう。私はBTRONOS「超漢字」のユーザーでもあるのだが、BTRONに関してはどこか途中でオープンソースに方針転換できなかったものかと思っている。OSとしての素性は決して悪くなかったのだが。ちなみにはやぶさ搭載ローバー「ミネルバ」もITRONで動いている。

 次ははやぶさから離れて、お盆らしいネタ。有人ロケット研究会幹事の大貫剛さんが、先だって結婚された。彼はそれに合わせてダイヤモンドエアサービス(DAS)の弾道飛行を利用した指輪交換式を企画、8月10日に決行した。多分、無重力状態で指輪の交換をしたカップルは大貫夫妻が日本で初めて…のはず。



 


 この春、大貫さんと共にアメリカに行った時、「実はやろうと思っています」とは聞いていた。「お前どこまで好きやねん」と思ったものだが、こういうもものは確かにやったもの勝ちだ。

 費用は2桁万円後半程度らしい。また、基本ダイヤモンドエアサービスの飛行は「実験」しか受け入れていないので、彼らは「無重力状態における指輪の交換実験」とか無理くり実験に仕立てて、今回の飛行にこぎつけたとのこと。実施に至るまでのノウハウは、大貫さんに問い合わせれば教えてもらえるだろう。大貫さんのコメント「アイロンを持ち込んでいれば…(エクストリーム・アイロンですね)」。

 この手のものは後に続く者が現れるかどうかで、定着するか否かが決まる(ウエルズの次にタイムマシンをテーマとしたSFを書いた者が偉いのと同じ道理だ)。ダイヤモンドエアサービスも(そして国交省航空局も)堅いことを言わずにこの手の需要をどんどん受け入れていけば、新しいビジネスにつながっていくと思う。

 自分の宣伝。現在販売されている週刊エコノミスト8月17・24日合併号の第二特集「すごいぞ 日本の宇宙技術」に、「日米の宇宙政策 日米で進む宇宙開発の見直し 技術維持に何をすべきか」という記事を書いた。

◇【特集】すごいぞ 日本の宇宙技術
  • 動き始めた日本の衛星打ち上げビジネス   秋本 裕子
  • インタビュー 宇宙飛行士・野口 聡一 「『きぼう』の完成度は群を抜いている。日本の底力はすごい」
  • 日米の宇宙政策 日米で進む宇宙開発の見直し 技術維持に何をすべきか   松浦 晋也
  • 衛星ビジネス 世界4位の衛星大国・日本 受注の遅れ挽回へ攻勢   西川 拓
  • 国際宇宙ステーション 世界に誇る技術を生み出した日本の「きぼう」と「HTV」   羽生 哲也
  • 企業分析 イオンエンジン、特殊樹脂… 宇宙技術で注目される日本の50社   秋本 裕子
 アメリカのオバマ新政策と、日本の有識者会議による宇宙開発体制改革を絡めて論じたもの。興味のある方は読んで下さい。

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Comments

むむ!これではマクロスのワンシーンのようではないですか!

大貫ご夫婦に幸あらんことを!

気付くのが遅れました、ご紹介頂きありがとうございます。

こういった実験に、DAS社側は大変前向きです。実験でないと航空局が認めてくれないので、実験に仕立ててどしどし持ち込んで下さい、というスタンスです。航空局は役所なので、実験目的で許可したのだから実験しなさいよ、ということなのでしょう。

アマチュア無線が研究目的をうたいながら広く利用され発展してきたように、無重力飛行も「実験です」と明言すればいろいろなことが可能なのです。実際、無重力体験で何をしてみたいかというアンケートに「実験してみたい」と答える方は多いです。そういう方はすでに、日本で無重力体験が可能ということになります。

なんだ、こんなことやっても良かったのか、と思われた方は、どんどんアイデアを実行してみると良いと思います。ご相談があればTwitter等でご連絡下さい。

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