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2010.12.17

12月17日午後6時からのあかつき事故原因究明の記者会見

20101217


12月17日、午後6時からの記者会見。もう資料が公開されているので、とりあえず記者会見の様子のみアップする。

出席者:中村正人プロジェクト・マネージャー、石井信昭プロジェクト・エンジニア、稲谷芳文教授

 ISAS宇宙理学委員会委員長(中村)、宇宙工学委員会委員長(稲谷)の重鎮2人がそろった記者会見となった。

広報から:宇宙開発委員会調査部会の説明を行う。文部省記者会見は長時間の説明を行ったが、今回は質疑応答を中心にしたい。

中村:この前の記者会見以降のことを石井から、FTAについての説明を行う。

 石井教授から、あかつき概要説明。今までに出てきた話が大部分なので割愛。

 軌道変更エンジン(OME)噴射時の姿勢制御ロジックが公開された。噴射中はスラスターの噴射で姿勢を維持する。各軸周り各加速度が設定値以上に変化した場合は噴射を中断してリアクションホイールを使う姿勢維持モードに移行する。

1)OME噴射開始後から本来一定に保たれるべき燃料タンク圧力が緩やかに下降している、
2)噴射開始から152秒で、急激な姿勢変動が起き、同時刻に機体加速度も急激に変化した。
3)噴射開始から158秒で、噴射中断に対応する姿勢制御モード変更が記録されている。
4)158秒で、酸化剤タンク圧力がステップ状に上昇すると同時に、燃料タンク圧力が徐々に増加しはじめた。

稲谷:
 これからの調査のやりかた。FTA(故障の木)解析について

 事実の絞り込みにあたって、試験・実験が必要になるだろう。

 故障の木解析の説明。
 その中で、現状ではもっとも可能性があると思われる事象。

・姿勢異常を検知しての燃焼停止からの故障の木解析。資料中ハッチングしてあるのが現在可能性があると考えている事象。

現状で可能性があるのは
 異常燃焼による軸非対称燃焼
 その原因となるのは
  ・スロート後方後燃え:
  ・不安定燃焼
  ・インジェクタ噴射異常
     これらについては
     「実績のない燃焼条件で動作させた可能性があるので要因として否定できない」

 さらに原因として考え得るのは。
  ・フィルム冷却のクーリングの噴射異常
  ・燃料の高圧ガス加圧系に入っている逆止弁CV-Fの閉塞

質疑応答
日経サイエンス:噴射停止は157秒ではなかったか。以前の発表では157秒だったような
稲谷:姿勢維持モードに入ったのが158秒。この操作にともなってエンジンを止める。
読売新聞:図面上で酸化剤側と燃料側でバルブの構造が異なるのはなぜか。エンジンは実際にはどういうところまで試験したのか。
石井:燃料側はガスと燃料が分離する隔膜が入っている。酸化剤側は隔膜がない。酸化剤側は気化した酸化剤が逆流する、可能性があるのでラッチングバルブがダブルで入っている。
稲谷:燃料と酸化剤の混合する割合。我々が事前の試験で混合比を降って試験の範囲をはずれた可能性がある。そこで何が起きるかは試験をしていないので分からない。
読売:セラミックスラスターの耐熱温度は1500℃というが、実際にはどの程度の温度条件まで試験で確認しているのか。
稲谷:ものが壊れるかの判断は応力なので、応力で考えている。温度では考えていない。燃えかたによって条件のきつい部位は変わっていく。今、シミュレーションで、想定外の状況で応力がどう変化するかを調べている。温度だけでは議論できない。
読売;試験で確認した範囲というのはどの程度なのかということを、後で出してもらえないだろうか、一般読者に説明する場合に、どこまで試験したかという目安がないと説明しにくい。
稲谷:たぶん、混合比をどの範囲で振って試験したかは出せると思う。
毎日:燃料タンクにチェックバルブは、絶対必要なのか。酸化剤リッチになった場合、温度が上がる可能性はあるのか。
石井;ない設計もありうるが、我々は必ず入れている。海外の設計は知らない。
稲谷:一般に最適混合比からはずして燃料リッチで燃焼させるほうが多い。少し最適より低い混合比で設計されているので、酸化剤リッチになると最適混合比に近づくので温度が上がっていく。設計点近傍では、酸化剤リッチで温度が上がっていく。
共同通信:燃焼室の温度の圧力は?
稲谷:今正確にでないので、後で出す。
不明:今、どこか欠けているということには分かっているのか。そのことで6年後の再突入は。
稲谷:燃焼室とノズルでは、燃焼室は壊れていない。加速度が出ているので、ノズルはどうなったかは今検討中。今、予断を持つべきではない。
中村:今の状態を確認するのが先決。決してあきらめるようは状況ではない。楽観しているわけもない。
読売:インジェクターの温度は前回、150℃ほどで予定の範囲内だったと前回聞いているが、インジェクターには影響の及ばない設計だったのか。
稲谷:インジェクター温度が正常であることは、燃焼室が健全であることの傍証となる。

 ここから資料2
日経新聞;まずは、燃焼ガスが噴射方向に異常が出たというのは間違いないのか。
稲谷:その可能性を排除しないということ。たとえば、燃えずに噴射してノズルの外で燃える後燃えという現象もある。予想外の運転状況を今後試験で確かめていく。
日経新聞;タンク圧力異常と燃焼異常は関係しているということでいいのか。
稲谷;関係してくる可能性はあるだろう。
朝日新聞:不安定燃焼と、インジェクター噴射異常を細かく教えて欲しい。
稲谷:ある状態になると燃焼は安定せずにばたばたしたり息をついたりする。どうすればそういう状態になるかは、まだ分かっていない。インジェクター噴射異常は、吹き出し口の流量は上流の圧力と関係するかも知れない。燃料と酸化剤は混ざらないといけないが、圧力が予定と異なると、なにか部分的に詰まったり、よく混ざらなかったりする可能性がある。
稲谷:現象としては重なるかも知れないが、事象としては別。別に試験していきたい。
朝日新聞;フィルムクーリングの噴射異常とは?
稲谷:エンジンの冷やすために、燃料だけを内壁に沿って吹き出して、内壁全体を冷却している。この燃料を流すことをフィルムクーリングという。均一に流しているはずの燃料が均一でなくなったらどうなのか、とか、可能性を排除できないのでこの項目を残している。
朝日新聞:混合比を燃料リッチにしているというのはこのフィルムクーリングの分か。
稲谷:混合比は燃料と酸化剤の流量で定義している。フィルムクーリングの分も入っている。
朝日新聞:燃料側圧力低下から、燃料流量の低下を推測できていないのか。
稲谷:現在解析中である。
朝日新聞:燃料と酸化剤のパターンを試していたのを、地上の試験で超えた可能性があるというが、混合比は逸脱している可能性があるではなく、もう超えていると言っていいのか。
稲谷:可能性がある、だ。
朝日新聞:地上試験はもうやっているのか。
稲谷:現在計画中。ものをつくらねばならないので。すべてを年度内に行うのは難しいかもしれない。あかつき自身に噴射させる試験は、これで壊れたら後がないので慎重に行わねばならない。

 ここでマイクが相模原に渡る。
青木:高圧タンクのフィルターに目詰まりが起きた場合はもっと早く圧力が戻る可能性があるということだったが、その後の検討は進んだか。FTAの×の項目は今後再浮上する可能性があるのか。
石井:記者会見で何言ったかあんまり覚えていないのですが。フィルターもバルブも詰まる可能性はある。まだ解析中です。
稲谷:×については、別の事実が出てくればそこで見直すことはあり得る。確かめてないことは、すべて確かめてから判断すべしだ。
青木:破損が起きていた場合、再投入は難しくなるのか。
稲谷:その可能性はある。
青木:現在あかつきの運用は何人体制で
中村:海外局は使わず、クルージングフェーズと同じ運用をしている。

 マイク東京事務所に戻る。
共同通信:スロート後燃えと、フィルムクーリングの異常は何がおきるのか。逆止便の動作は地上で確認できるのか。5つの原因候補を絡めてシナリオは描けるのか、
稲谷:今、検討している。探査機の姿勢変動から、探査機に力がかかったことは間違いないので、その候補として考えている。こうなったらこうなるというシナリオがあるから候補として挙げているわけではない。バルブの動作は圧力で分かる。圧力変動を説明できるバルブの動作を解析しているところ。これからなお探査機に動作をさせて検証するということは、あり得るだろうが未定。
東京新聞:逆止弁は、特に新しい部品ではないということだが、具体的にどんなことが起きうるのか。
石井;得られたデータを説明できるよう調べている。非常にシンプルな構造。
不明:この5つの中で可能性の強弱はあるのか。逆止弁のトラブルとして水平展開はすでに行われているのか。
稲谷:これから強弱はつけていく。水平展開はまだ。
共同通信:フィルムクーリングで何度温度下げることができるのか。
稲谷:やらないと壊れるのでやっている。
共同通信:燃料タンクの圧力が下がった場合、フィルムクーリングに向かう燃料のはどうなるのか。

毎日新聞:逆止弁が過去に閉塞した事例はあるのか。閉塞がはずれて今は復旧している可能性はあるのだろうか、
石井;どちらについても、おそらくあると思うが、これから調べる。ないということはないと思う。
毎日新聞:スラスターノズル破損だけ、上流にさかのぼって検討しているということが、これが一番あり得るということなのか。
稲谷;今排除できない原因候補は平等に扱って検討していく。

松浦:今回の事故調査は人的組織的要因まで踏み込むのか。
稲谷;資料中にある「背景要因」はそこまで含む。
中村:すざくのXRS不具合調査も、人的要因まで含めて調査を行っている。今回もそこまでやる。

青木:現在、運用は平常に戻っているのか。
中村:そうだ。はいゲインアンテナを使った通信で、機器の健全性など確認している。

稲谷;最後に。ここまで説明のために色々たとえを使ったが、我々がそれを有力と考えているわけではない。あくまで予断を持たずに検討していく。

 終了後のぶらさがりにて。

石井:噴射停止直前のデータを見ると、姿勢を元にもそうとする兆候がある。これはスラスターによる制御ができるということを意味する。(ノズル破損なりで)横方向の力がかかったとしても姿勢制御ができるということだ。6年後の投入の可能性はあると思っている。
以上

2010.12.10

あかつき金星周回軌道投入失敗、12月10日午前11時からの記者会見

あかつき軌道投入失敗
2010年12月10日の記者会見

出席者:中村正人プロジェクト・マネージャー
    石井信明プロジェクト・エンジニア

姿勢系と推進系以外はすべて正常であった。

 昨日の姿勢データに間違いがあった。イベントの起きた秒時と角度。
 噴射開始から143秒ではなく152秒、2分32秒」
 起きたx軸周りの角度変化も360°ではなく42°

噴射開始から
0-152秒 燃料タンク圧力が徐々に低下、機体加速度も徐々に減少
152秒 機体加速度がいったん急激に低下
158秒 RCSスラスターによる姿勢維持モードからリアクションホイールによる姿勢維持モードに移行。推進剤バルブを閉じて燃焼中断。
375秒 姿勢維持モードからセーフホールドモードに移行

 推進系、酸化剤タンク圧力は維持できているが、燃料タンクの圧力が下がり続けている

 松浦注:燃料と酸化剤は別体の高圧ヘリウムタンクで加圧している。この結果は、高圧ヘリウムタンクと燃料タンクの間を結ぶ配管でなにか閉塞が発生した可能性を示唆する。

Rprofishii
模型を前に説明する石井教授

石井教授から説明
 NASA深宇宙局および臼田局可視で、昨日ほどんどすべてのデータをダウンロードできた。すべてのデータを分析したが、姿勢系と推進系以外はすべて正常だった。
 OMEエンジン噴射開始から燃料タンクの圧力が下がり続け、加速度も減少し続けている。本来、圧力は下がってはいけけない。グラフはフラットになるはず。加速度もなだらかに下がり続け152秒で急激に低下している。グラフその後の立ち上がりは、スラスターが動き出したため。

中村 土日とプロジェクト関係者も休息をとって、先入観を廃して事故原因の究明を進める、探査機の健全性を確認するためにセンサーによる金星撮影を行った。

質疑応答
東京新聞;エンジンは破損していないのか。6年後に再投入できるのか。
石井:現在まさにそれららを調べているところだ。こちらの予期していないところは何だったか。それぞれのデータの間の時間とスケールを合わせて評価を始めるところ。
東京新聞:圧力が下がっているが。
日経新聞:燃料タンクの圧力が下がることが原因か。
石井:検討中。現在正常に見えているデータの中に異常が潜んでいるかも知れない。
朝日新聞;圧力が下がるということで燃焼に異常があったと書いてもいいか。
石井:出力が変動した。予想していた幅より大きい。地上で試験していた範囲を逸脱している。
NHK:燃料タンク圧力低下の原因候補は何か。
石井:配管、配管の途中に入っているフィルターが詰まった可能性。しかし同じ推進剤を使っているRCSは使えている、いずれにせよ流露に抵抗がある。どこにどんな抵抗があったらデータと整合するか。今後きちんと解析する。同じ現象が別の監視項目に出ていないかを調べていく。姿勢制御スラスター側のデータなど。これと類似の兆候は出ていないか。
NHK:開発時に同様の現象は起きているのか。
石井:開発時は色々なデータを取っているが、今回の圧力に相当する条件のデータはないと思う。比較することになるだろう。
不明:流量をモニターして噴射を中断した仕組みがあったのか。
石井:ない。
毎日新聞:確認:燃料タンクの圧力は正常の場合、ほぼ一定なのか。
石井:そうだ。一つの可能性として配管の閉塞が考えられる。正常だと思われるデータの中に異常が隠れていないかというのは重要なポイントだ。
産経新聞:燃料タンクの圧力が下がったのは何秒後か。
石井:噴射開始直後。通常は噴射開始で圧力が下がると調圧弁が働いて、ヘリウムで加圧される。しかし、そのまま圧力が下がり続けた。158秒で燃料・酸化剤共にバルブを閉じてエンジン停止。
NHK:噴射を止めた後、燃料タンク圧力は戻っているが、今は正常な圧力に戻っているのか。
石井:そうだ。
NHK:この戻り方は遅いのか。
石井:遅い。ここは重要な情報だ。
不明:これは燃料が不足したということか。
石井:所定の混合比に比べると燃料が少なくなっていたということ。
不明:152秒で加速度急激低下ということは、それは混合比の変化と関係あるのか。
石井:なにが起きると圧力と加速度がこのような形になるのか。これから調べていく。
不明:加速度が下がった原因はなにか。
石井:一義的にはエンジン推力の低下。少しずつ先入観を持たずに
不明;流体の通路はどこからどこまでか。
石井;高圧ヘリウムタンクから、配管、間に圧力を調整する調圧弁が入っている。
不明:燃料タンクからエンジンまでの流路を考えればいいのか。
青木:ノズルの破損の可能性を指摘する声があったが、これは消えたのか。
石井:小さなカメラでもつけておけば直接確認できたが、カメラはないので未確認。今後もその可能性を排除するのではなく検討していく。
青木;探査機の燃焼試験を行うという話もあったが。
石井;まず地上で燃焼試験を行うべきだろう。現象の把握が大事。
中村;私が説明していた時点では、まだこの推進系のデータはなかったので、探査機での私見と言うことを言った。
青木;X軸周りの回転の原因は。
石井;圧力、加速度、姿勢というデータが得られたので、これから調べていく。
青木;カメラは正常に動いているのか。
中村;動いている。
石井:これをすぎてしまうと写すものがなくなってしまうので、カメラ・デジタル処理系などの健全性を試験するために、時間のないなかで撮影を行った。

東京事務所;
TBS;使ったのはカメラ5台中3台か。
中村;そうだ。残る2台は冷凍機や高圧電源があるので起動に時間がかかる。
テレビ朝日:燃料タンクの圧力低下で、6年後の軌道投入も分からないといっていいのか。
石井:可能性はある。圧力低下の原因をきちんと評価しないといけないが、なにもかもだめということは決してない。
日経サイエンス:高圧ヘリウムタンク周りの部品は国産であり、ブラックボックスになっていることないのか。
石井:基本国産品で、海外のものも含まれている。すべて標準品で動作が保証されている。ヘリウムタンクの圧力は正常。今の燃料タンク圧力は最初の圧力に戻っている。
共同通信;ヘリウムガスの量は想定されている量が減っているのだろうか。
石井;この圧力差ではヘリウムの量はあまりかわらない。150秒吹いた場合の圧力が維持されている。
共同通信;熱制御に問題が出るような気がするが。圧力が変わったこと温度が変わるような気がするが。
石井:そこも含めて調べていく。
松浦;燃料系のバルブの動作は確認しているのか。
石井;アンサーの帰ってくるバルブについては動作を確認している。それ以外にも逆止弁という簡単なバルブがある。バルブは宇宙用の標準品であり、特注したものではない。
日経サイエンス;燃料と酸化剤の残量は。
石井;燃料残量を一番知りたいところで、直接計ることができないので現在のところ情報はない。
喜多:今後トラブルシューティングを進める中で、技術的な制約はあるのか。それともじっくり取り組める状況なのか。
石井;一番おそれているのは太陽の放射線。放射線劣化を防ぐような冬眠に近い運用が必要になる。現在、至急データを見直している。
山根一眞:打ち上げ時の軌道投入精度が高かったので、かなり推進剤が余っていると聴いているか、推進剤量については余裕があるのか。
石井;正確に数字で答えられないが、今回152秒相当だけを使ったと仮定すると次の金星周回軌道投入には足りる。
読売新聞;燃料タンクなどの写真を使って説明して欲しい。
石井;写真はありますが、でもわかりにくいですよ。家庭も蛇口は単純で、内側の
日刊工業新聞;冬眠状態について。いつまでにどのようなことを行うのか。
石井:年内に4つめのカメラの試験を行う。通信機器に関しても試験を行う。年が明けたら性能評価試験を行う。冬眠というのは火を入れない状態。バッテリーは空にちかい充電量を下げた状態にして寿命を延ばす。通信系の機器に関しては2系統あるので、1系統だけ使うようにする。なにができてなにができないか、リスクはないかといった評価をしている。年明け3から6ヶ月かけて実施し、後は冬眠モードにしたい。
毎日新聞;姿勢を崩した時、どこにどれぐらいの力がかかったのか。
石井:これから計算をする予定。
日経サイエンス;RCSで姿勢を安定させたということか。
石井;158秒で姿勢維持がスラスターからリアクションホイールに移ったが、姿勢を安定せず
共同通信;一回宇宙で噴射した時には圧力異常はなかったのか。
石井:6月に13秒間噴射試験を行ったが、その時には異常はなかった。ただし噴射時間が短かったせいなのかは分からない。

相模原にマイク戻る。
共同通信;酸化剤タンクに異常はないが、燃料側配管

共同通信;素人考えだが漏れた可能性はないのか。
石井;可能性はあるが、現在圧力が一定しているのでそのデータと矛盾する。
東京新聞:のぞみとの違いは
石井;酸化剤にはのぞみと同じラッチ弁が2つパラレルに入っている。燃料はラッチ弁がなく、逆止弁が入っている。
不明:ほかの衛星に影響が出る可能性は
石井;何が起きたかによる。
不明;このあたりは、すでに獲得した技術なのか、まだ獲得中の技術なのか。
石井;それは難しい。惑星探査機も次々上げられないので。
中村;2液スラスターを使う探査機は数少ない。我々10年にいっぺん程度しかこういう挑戦ができないので、その意味では挑戦である。
時事通信;姿勢制御スラスターも噴射中に吹いているがそちらに異常データは出ているのか。
石井;データとしては正常だが、異常が隠れていないか姿勢データと合わせて、噴射すべきタイミングで噴射しているかと言ったことを調べていく。
時事通信;実際に噴射して試験をするのか。
石井;それはありうる。ここまでやればこれが確認できるという項目はあるので。その前に、地上でどこまで詰められるかだ。
朝日新聞;姿勢制御用スラスターはすべて正常と確認できているのか。
石井:現時点で異常は見つかっていない。ただし姿勢の時間的変化と相応してきちんと吹いているかは今後の解析が必要。
朝日新聞;横方向からかかった力はいったい何なのか。現状で分かるところを。
石井;軸対称の流れができているかどうか。
朝日新聞;混合比が変化することでどんなことが起こるのか。
石井;一概にいえない。今後海外の論文なども含めて調べて行かねばならない。
不明;姿勢と加速度の変化はどちらが先に起きたのか。
石井;得られたデータのサンプリング間隔が荒いので細かいところは不明。現状では同時と思っていい。
不明:燃料タンク圧力の戻りが階段状に見えるが。
石井:これはなめらかにもどったと考えていい。
毎日新聞;混合比が変わったことでどれだけ推力が低下したのか。
石井;これから調べなくてはいけない。
毎日新聞;配管が詰まるとして何が原因と考え得るか。
石井;つまるものはなにもないはずなのだが、なにがあり得るか考えていく。
東京新聞;加速度は減っているが。
中村;本来なら噴射と共に軽くなるので加速度は大きくなるはず。
東京新聞;エンジンと燃料タンクの間でつまりが発生したと仮定して、燃料タンク圧力は上がるのか。
石井;調圧弁経由で加圧しているので、圧力は一定となる。
NHK;加速度の履歴が最後ぽんとあがってるのはどういうことか、
石井;ここにも何か重要な情報が隠れていると考えている。
青木:データはすべてダウンロードできているのか。
石井;記録されているものはすべて取得した。探査機に残っているデータはない。
青木;今後取得するデータはあるのか。
石井:それはある。機体各部の温度など。金星軌道より1000万kmも内側にはいるので、これから熱対策を考えねばならない。

東京事務所
喜多:金星を撮った画像はこれが初めてか。
中村:そうだ。
喜多;感想は。
中村;予定通りの画像で実に惜しいというものだった。近赤外の画像には金星の山脈も写っており、この中から最大限の成果を引き出すべく努める。
共同通信:燃料タンクの圧力が元に戻ったということだが、戻りきってないように見える。
石井:この後のデータで確認したい。この圧力だと正常の範囲内。
中村;今確認した。調圧バルブを閉じているのでこの圧力は異常ではない。

以上

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