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カテゴリー「 A-Bike」の18件の記事

2009.11.03

A-bike:hirax.netさんの記事について

 もうかなり前のことになるのだが、A-bikeと、その模造品について、hirax.netさんがこういう記事を書いている。

純正A-bike より 8インチ空気タイヤ版 A-bicycle の方が断然イイ!の不思議

 少なくとも、今回比べた純正A-bikeは「剛性」「直進性」において、パッチモンに比べてかなり劣っていた。前輪・後輪の直進性、そしてフレームから後輪への剛性感が、全然違うのである。
(中略)
 意外なことに、8インチ空気タイヤ版 A-bicycle はさまざまな部分で改善がされていて、純正品より(現時点では)遥かに「良い移動道具」になっている。個体差は大きいだろうから、一概に判断することはできないが、今日の純正A-bike v.s. 8インチ空気タイヤ版 A-bicycle を実際に眺め、実際に触り、実際に乗ってみた上での勝負結果では、モノとしてはパッチモンの圧勝だった。

 この記事が出た後、「お前さん、純正品を薦めていたじゃないか、立場ないね」的な意見がいくつか届いた。

 ちなみに、hirax.netさんはこの後で以下のような記事も書いている。

A-bike v.s. A-bicycle(8インチ空気タイヤ版)再び

(松浦注:きちんと純正品整備した。)すると、「純正A-bike」の剛性感が別モノと思えるほど、良くなっていた。フロントとリアを繋ぐ部分がフニャフニャなのは変わらないけれども、それ以外の剛性感がずいぶんと感覚が変わり、乗っている時の「不安感」が”かなり”改善されていた。自転車としては、まだ「(パッチモン)A- bicycle(8インチ空気タイヤ版)」の方が良かったが、、その安定感の違いは(ネジを締め直し、後輪のポジションを変える前の買ったそのまま状態よりは)かなり小さくなっていた。
(中略)
・・・結局、「純正A-bike」と「A-bicycle(8インチ空気タイヤ版)」の持ち主二人の意見は、”着実に改良をした”8インチ空気タイヤ版の「純正A-bike」が出たら、それが一番だよね、というところで一致した。

 というわけで、問題は「かなりの部分が整備の問題であった」ということで解決しているのだが、以下少々補足を書いておくことにする。

 私は、ここで比較対象になっている8インチ空気タイヤ版A-bicycleに実地で触れたことはない。もちろん乗ったことはない。それでも、ネットで調べると、何が起きているかは推測できる。

 事態を理解する鍵は重量だ。

 8インチのニセモノは非常に種類が多いので、hirax.netさんが入手した機種がどれなのかは分からないのだが、調べてみると公称重量5.7kgから8kgまでさまざまなようだ。

 そこで推測なのだがhirax.netさんが入手した機種は、7.5kg〜8kgあるのではないだろうか。オリジナルのA-bikeは5.7kg。現行製品のA-bike Plusは6kg。重量差は、1.5〜2.3kg。

 もともと6kgの製品に、プラス1.5〜2.3kgの重量増加を認めるならば、相当がっちりしたものにすることができる。「8インチのバチモンのほうが「剛性」「直進性」が良い」という印象は、かなりの部分、重量増加を認めた設計に依存しているのではないだろうか。

 ここから先は、かなりの部分を購買者の価値基準次第ということになる。プラス1.5〜2.3kgの重量増加を認めて、価格も安い(1万円以下とのこと)、しかも走行性能も決して悪くないニセモノを選ぶか、それとも1.5〜2.3kgも軽いが5万円超の本物を選ぶか。

 私ならば、たとえ5万円でも純正品を選ぶ。7.5kを持ち歩くのと5.7kgを持ち歩くのでは、体感的に大きな差があると考えているからだ。現行品でも6kgという重量は他の製品では得られない大きな利点だ。

 自転車の軽量化は容易なことではない。よく「1gの軽量化に100円かかる」などといわれる。1kg軽くしたければ10万円というわけだ。実際、8kgを切った自転車を部品の交換で軽量化を目指すとそれぐらいはかかる。
 しかも軽量化は耐久性とのトレードオフとなる。A-bikeは試作品が5.5kg、最初の製品版が5.7kg。次期製品が6.0kgと重くなってきた。5.5kgを目指したが、製品としては無理があって5.7kgになり、さらには売れるにつれて、最初の想定とは異なる使い方をされることも増えたため、6.0kgまでの重量増加を認めて構造を強化することになったのだろう。軽量化は本当に難しい。

 A-bikeは軽さを活かして持ち歩くというコンセプトの製品だ。問題は、それだけの軽さと、軽さが代償として要求するコストが、自分の価値観に見合うかということだ。私は見合うと思っている。

 もちろん「8kgであっても走行性能が良くてずっと安ければそれでいい」という考え方もありだ。プラス2kgもあれば、危険なほど壊れやすいということはないだろうし。

 ところで、A-bikeにはもう設計的に詰めていく余地はないのだろうか?
 例えば日本の自動車メーカーが、A-bikeのような自転車を、自動車に常備するオプションとして販売しないだろうか。日本の自動車メーカーの設計・製造能力をもってすれば、A-bikeを超えるA-bikeを作ることができるのではないかという気もするのだが。

2009.10.26

A-bike:タイヤチューブを交換する

 事の発端は7月の半ば、A-bikeに乗ろうとしたら、前輪の空気が抜けていた。ポンプで空気を入れても抜けてしまう。どうやらバルブの根本に穴が空いたようだ。
 もともとA-bikeのタイヤには空気を入れるときに少しバルブを横方向にこじる必要がある。このためバルブ根本でチューブが裂ける事があり得る。このことはmixiのA-bikeコミュで知っていた。
 やってしまったか。チューブを交換しなくてはならない。

 早速、A-bike販売元の香港のサイトにチューブを注文した。この時、ふと考えた。6インチの小さなタイヤのチューブ交換は、かなり大変らしい。交換途中でチューブを傷つけたらそこでおしまいだ。
 もうひとつ、送ってくるチューブはまず間違いなく大陸中国製だろう。となると、どんな品質のものが届くかわからない。

 というわけで、予備のさらに予備も含めてチューブを4本注文した。ほどなくチューブは届いたのだが、そこからが大変だったのである。


Tire1_2 まず、送ってきたチューブが、4本ともあまり信用できそうになかった。タイヤに装着せず、そのまま膨らますと。ドーナツ状にきれいに膨らまず、太いところや細いところができるのだ。あきらかにゴムの厚みが均等になっていない。
 しかも、バルブ部分にはなにやらさびのようなものが浮いている。バルブ部分が錆びるような環境で保管されていたとすると、チューブのゴムはもっと痛んでいる可能性があるだろう。

 これはまずいのではないか…。不良品だったらかなわない。

 イヤな予感を感じつつも、他に手段がないこともあり交換してみた。




Tire2_2 Tire3 Tire3_1

Tire4 6インチのタイヤをリムから外すのは、かなり大変だが、慣れればできないことではない。タイヤレバーを3本使い、格闘すること約30分で、外すことができた。チューブを交換してはめるのも一苦労だが、なんとかなるものだ。この時、私はミシュランだったかが無料で配っているタイヤレバーを使ったのだが、後でパナレーサーが販売しているタイヤレバーを使うと、より簡単にタイヤを外し、取り付けることができた。道具は選ぶべきである。

 チューブを交換したタイヤのチューブに空気を入れてみる。きちんと入る。やれやれ、不良品かと思ったが使えそうだ。これで良し。

 しかし、良くはなかったのだった。

 4本買ったチューブ。まずは1本目。

 交換してから一週間ほどしたある日、A-bikeを置いた玄関から、突如「ぷしゅー」と空気が抜ける音が聞こえた。チューブを交換したばかりの前輪の空気が抜けている。

 またも格闘30分の末にタイヤを外して調べると、チューブに小さな穴が空いていた。どうやら、ごく狭い部分でゴムの厚みが非常に薄くなっており(製造時に気泡でも入ったのではないだろうか)、そこが破れたことが判明。やはり、取り寄せたチューブの品質には問題がありそうだ。とはいえ、まだチューブは3本残っている。交換だ。

 そして2本目のチューブ。

 今度は1ヶ月ほど持ったが、ある日、空気が抜けているのを発見。また破れたかと思ったが、空気圧が低くなっているだけで完全には抜けていない。ポンプで空気を入れてみると、バルブ部分がダメになっていて、内部圧力がある程度以上になると空気を逃げてしまうことが判明。

 またも、大汗かいてタイヤを外し、3本目のチューブに交換。

 交換後、空気を入れてみると、なんとバルブから空気が漏れてくる。どうやら、バルブに何かが噛み込んでいるようだ。
 何が噛み込んでいるかはわからないがはずれないかと、空気を入れ、バルブから放出しを繰り返してみた。すると、そのうちに、バルブから、なにかどろどろの白濁した液体が出てくるではないか。
 どうやら、内部に少量のゴム糊のような液体が注入してあり、小さなパンク穴をふさぐようになっているらしい。しかし、その液体が内側からバルブに入り込んで固まり、バルブが完全に閉じなくなっていた。2本目のチューブのバルブがダメになった理由も、これと同じらしい。
 内部から強く空気を噴き出させたら、ゴム糊状液体をすべて排出できるか、と思いきり空気を入れたら、バチン…チューブが破裂した。内部からはかなりの量のべとつく白濁液体が飛び散り、部屋の掃除が大変だ。

 なんだが非常に情けない気分になる。

 残るチューブはあとひとつ。ところがこれも液体がバルブに入り込んでダメになっていた。もうチューブ破裂の危険は犯せない。新たにどこかからチューブを調達しなくてはならない。

 幸いにして、楽天でディアマイフレンドというショップが独自に製造したチューブを販売しているのを発見した。「中国製」と書いてあるが、背に腹は替えられない。日本側から品質管理の指導が入っていることを期待しつつ注文した。今度は2本だ。もう4本まとめて注文するような、あぶないことはできない。

 このチューブだ。1本900円なり。

 送ってきたチューブはといえば、香港から購入したチューブと全く異なるものだった。まず材質が違う。通常の自転車屋で売っているパナレーサーのチューブと同じ材質だ。香港からのチューブは生ゴムのようなさわり心地だった。
 中に妙な液体が封入されているようでもない。
 そして、空気を入れてみるときちんと均等に膨らむ。これなら大丈夫そうだ。

 とにかくタイヤを外してチューブを交換した。これでどうやら落着である。

 ところが、このディアマイフレンド製のチューブには、より一層の利点が存在した。A-bikeの走りがスムーズになり、乗り心地が良くなったのだ。自転車の性能は、かなりの部分をタイヤに依存するとは聞いていたが、前輪のチューブを交換するだけで体感できる乗り心地が一気に好くなったのにはびっくりしてしまう。
 今、残る後輪のチューブも、もう一本購入した新しいチューブに交換してしまおうかと思案している。

 今回のことをTwitterに書いたところ、実際に中国ビジネスに携わっていたり中国製品で様々な体験をされた方々から反応が返ってきた。
 曰く、「中国は、品質にうるさい日本には一番よい品質のモノを出してくる傾向がある」「他のアジア地域で中国製品を買うと、かなり悲しい目にあうこともある」「日本メーカーが中国で生産する場合、相当な力を入れて品質管理手法の指導を行う」、さらには「一方で国内の品質管理が空洞化しつつある」「中国は国を挙げて品質管理を強化しつつある」とも。

 当面、中国製品は日本に入ってきたものを買うのが良いようだ。香港あたりから個人輸入すべきではないのだろう。しかし、いつまでもそうだと思ってはいけない。
 かつて、Made in Japanが粗悪品の象徴だった時代があったことを思い出そう。
 そのうち我々がMade in Chinaを高品質の象徴としてこぞって買い求める時代が来ないとも限らない。遣唐使の時代がそうだったように。

 このディアマイフレンドでは通販でA-bike Plusを購入できる。その他、ギアやタイヤなどの部品も購入可能だ。今後も乗り続けることを考えると、タイヤやチューブ、強化部品などは、購入して保存しておいたほうがいいかも知れない。

2008.06.12

A-Bike:バチモン二題

その1

 中国には「阿里巴巴(アリババ)」というB2Bコマースサイトがある。要はヤフオクが個人と個人の売買をつないでいるのと同じ要領で企業間取引をつなぐサイトだ。日本のソフトバンクも出資していて、日本語サイトも動き出している。このサイトを見ていると、中国が今何を日本に売りたがっているかが見えてきて、なかなか面白い。

 何の気なしに、「自転車、自転車部品」のカテゴリーを見ていったら、こんなものが出てきた。

深圳(zhen)市華訊唐科技有限公司

 む?これはA-Bikeか、それともニセモノか。A-Bikeはシンクレアが知的所有権を持っているはずだが、きちんとライセンス契約を結んでいるのか、それとも…

 B2Bサイトなので、深圳市華訊唐科技有限公司の詳細も掲載されている。年間売上:50億-100億円、資本金:500万-1000万円ということだから、今まさにのし上がろうとしている企業だろう。
 深圳市華訊唐科技有限公司のホームページもある。フィットネス製品とカー用品をほとんど手当たり次第に作っていることがわかる。

 さらにアリババの掲載情報を見ていくと、おおっオリジナルにはない赤と青のA-Bikeも作っているではないか!

 これはニセモノだな。

 しかし、日本向けB2Bサイトに、堂々ニセモノを掲載して売ろうとするというのは、いい根性しているというか、怖い物知らずというか。この調子だとアリババの各言語向けサイトのすべてに、バチモンを掲載しているのではないか。

 私は「だからチャイナクオリティww…」というような見方はとらないが、中国政府がWTOに加盟しても、末端がこれじゃ先行き大変だな、とは思う。

 とりあえず、書いておこう。たとえ安くてもニセモノを買ってはいけません。オリジナルほどの強度や精度がないので、危険です。

17;45追記:
 おわっ、ここにもバチモン(広州尚雅会化妝品有限公司)が!
 と思って、ずっとアリババのページを見ていったらば、そんなものでは済まなかった。

 福建省(茘城区聯合貿易有限公司)からも参戦しているではないか!

 広州(広州施耐電子科技有限公司)からもぞくぞくだ!

 ここにも(永康市弘源工貿有限公司)

 ニュー自転車(永康市衆星車業有限公司)ってのもひどいな。自分で開発したわけでもないのに。

 はっきりA-BIKEと名乗ってしまっている(永康市福旺進出口有限公司)ところも。ニセウルトラマンみたいだ。


 ひゃー、ストライダのバチモンっぽいのもあるぞ(永康市浩邦工貿有限公司)

 しかも一種類でない(永康市福旺進出口有限公司)

 ぞろぞろ、出てくる(浙江朗匯科技有限公司)ではないか。
 
 ストライドバイクなどと名前をつけているところ(浙江金拓機電有限公司)もある、

 全部見たわけではないが、まだまだありそうな雰囲気だ。なんというか…1匹見かけたら30匹は…の世界だな。

 しかし、ネットを通じてバチモンの製造元の連絡先までが一発で分かるというのは、便利になったもんだというべきなのか。

その2
 バチモンたちも、マーケットリサーチ及び研究開発に怠りはないようで、今年に入ってから、8インチタイヤを付けたものが出回るようになった。A-Ride Xとか、A-bicycleとか。

 段差の乗り越えに関して、A-Bikeの6インチタイヤが不安要素であることは間違いない。「8インチタイヤにすれば」というのは誰でも考えることで、これらバチモンは本物に先駆けて、“改良”を試みたわけだ。もちろん安い。3万7500円のところを1万2800円って、まあ奥さんお得ですわよ!

 もちろん買ってはいけない。強度の問題はもちろんのこと、重量が7.5kgになってしまっている。オリジナルの5.7kgが7.5kg。たった1.8kgの差だが、これが携行にあたっての大きな差となる。A-Bike購入以来、色々実験してみたが、人間の重さを感じる感覚は5kgを超えると少しの重量増加でも急に重く感じるようになる。また、10kgを超えると、また多少重くても大して苦には感じなくなるようだ。
 オリジナルが6インチタイヤを採用しているには、それなりの意味があると、私は考える。

 同じ7kg台なら、私はバイク技研のYS-11を薦める。8インチタイヤの自転車が欲しければ、私のお薦めはCarry-meだ。

 高いというなかれ。値段に惑わされず、きちんとコストをかけたものを見抜いて、良い物を買うことで、質の低い製品を淘汰できるのだから。


 中国最大のB2Bサイト、アリババの勃興と創業者の馬雲の軌跡をまとめたノンフィクション。書評仕事で読んだのだけれども、正直文章はあまりうまくないし、内容も散漫。それでも、中国にB2Bサイトが何をもたらしたかをはっきりと示す面白い本だった。

 B2Bサイトが、中国の商取引にもたらしたのは「信頼」だった。中国における伝統的な商取引は、人と人との信頼関係が絶対的な意味を持つ。つまりは「有関係」、コネだ。信頼できる知り合いのそのまた知り合いも信頼できる、という形で信頼のネットワークが広がっていく。

 この方法では、無関係の他人とは、お互い全く信用できないことを前提に取引を行うことになる。となると、相手を出し抜き、騙してでも一方的に利益を上げようという態度にもつながることになる。後がどうなろうと、もう二度と取引をしないから構わない、というわけだ。

 しかしアリババは、取引をした相手が相互に相手を評価し合うシステムを持ち込んだ。ヤフオクの評価と同じだ。となれば、ひどい評価を喰らうような取引は控えなくてはならない。明らかにアリババは、中国の商取引に新たな信頼を持ち込み、そのことによって大きく成長したのだと思う。

2008.06.06

ヒルクライムで負ける

Nishiharima

 A-Bikeだが、相変わらず便利に使っている。今回、はじめてヒルクライムに挑戦してみた。

 6月4/5日と、宇宙作家クラブで、兵庫県の西はりま天文台にある2m望遠鏡「なゆた」の見学に行った。西はりま天文台は、JR佐用駅から6kmほどの山頂にある。地図を見ると高低差200mほど、普通の自転車ならば、まあ上れるであろう程度の坂だ。

 せっかくだから、と、わざわざA-Bikeを持ち込んで走ってみた。

 駅から2kmはゆるやかな道で、何の問題もなかった。ところが上りにかかると、やはりダメ。ギア比を選ぶことができないので、息が上がってしまう。短い坂ならなんとかなるが、これだけの長い坂になると、脚に合わせたギア比を選べなければどうしようもない。

 結局かなりの区間を押して登ることとなった。兵庫の山奥までわざわざA-Bikeを持ち込んだ意味がまるでないように思えるが、それでも一部区間はA-Bikeをこいで登ることができたので、まあよし。チェーンが切れるぐらいのことはあるかもと思っていたが、機械的なトラブルは出なかった。

 結論から言えば、A-Bikeでヒルクライムはやめておいたほうがいい。そういうことにつかう自転車ではないということを身を以て確認した。

 なゆた見学は、西はりま天文台顧問の森本雅樹先生も合流してくれて、とても楽しいものとなった。案内をしてくれた同天文台の鳴沢真也さんに感謝。雲で2m鏡による星を見ることができなかったのは少々残念。いずれリベンジをかけることとする。

Nayuta

 一晩、ロッジに宿泊し、翌日は近くにある放射光設備SPring-8の見学。晴れていたらA-Bikeで坂を下っていこうと思っていたが、土砂降りの雨のために断念。


 案内をしてくれた鳴沢さんの著書。自分の天文屋人生と、西はりまに2m望遠鏡ができる経緯をつづっている。後半は、光学的手法による知性体探索(OSETI=Optical SETI)について書いている。西はりま天文台は日本で唯一、OSETIを実施している天文台だ。

 飾りのない言葉でつづられた、とても良い本だ。「ああ、ここにも“望遠鏡を作る人”がいたんだ」とちょっと胸が熱くなった。実は、森本雅樹先生にも、「望遠鏡を作る人びと」(岩波書店1972年)という子供向け名著があるのだ。小学生の私の愛読書だった。



 森本“マッキー”の武勇伝は色々と聴いていたけれども、改めてお話しすると、とても愉快、かつ本質に直接的に突っ込んでくる方だった。酒宴での鹿野司さんとの議論はすごかった。

 アメリカの天文学者ヘールが、ヤーキース1m、ウィルソン2.5m、パロマー5mと次々に大きな望遠鏡を作っていった話になったとき、森本先生は「おじさんはねえ(森本先生は自分の事を“おじさん”という)、大きなものを追ったことはなかったな。いつも本質的に新しいことを目指してきた」と言った。東京天文台に6m電波望遠鏡を作り、野辺山に45m電波望遠鏡を作り、さらにはスペースVLBIへと、ミリ波の電波を使う新しい電波天文学を開拓したパイオニアの自負心を聞いた気がした。

2007.11.08

A-Bikeと初音ミク


 気が付くとAmazonもA-Bikeの取り扱いを始めていた。値段は5万8800円だから、大作商事取り扱いの正規輸入品だろう。ポイントが10%付くから実質5万3000円ほどで入手できる。なかなかよく書けた評価がついていて、それぞれ星4つ。

 万人に勧められるものではないが、理解して使うならば悪くないということだろう。実際私はずいぶんと便利に使っている。


 


 そして、本題。Amazonには「この商品を買った人はこんな商品も買っています」というサービスがあるのだが、11/8現在、そこに表示されているのは、なぜか「初音ミク」なのだ。

 つまりA-Bikeを買っている人は「初音ミク」も買っていますということなのだが、何か関係あるのだろうか?
 自分は確かにその両方でblogを書いているが、影響しているということは…ないよなあ。

 どなたかイラストの腕に覚えのある方、A-Bikeに乗っている初音ミクとか、描きませんか?
 喜ぶのはごく限られた層だとは思うけれど。

 ちなみに私のところにも「初音ミク」は届いているが、なかなか使う時間がとれないでいる。
 そうこうしているうちに「VOCALOID2 キャラクターボーカルシリーズ01 鏡音リン」というのが出るそうで、初音ミクも使いこなせないでいるのにとてもそっちまでは手が回りそうにない。

 その初音ミクだが、GoogleとYahoo!の画像検索で一時期検索不能になったという事件。ネットでは、「VOCALOIDの権利を、クリプトン・フューチャー・メディアから奪いたい電通がやった」「同時期に伊達杏子をカムバックさせようとした電通の陰謀だ」などという話まで流れている。

 みんな陰謀論が好きだから、とも思うが、商用検索エンジン2種が同時期に同じ検索キーワードに対して不正確になるということは、少なくとも商用検索エンジンというものの脆弱さを示しているといえるだろう。

 脆弱さとは、技術的なものでもあるし、社会的なものでもある。

 なんらかの形でオープンソースの検索エンジンが必要な時期に来ているという気がする。調べるとオープンソースの検索エンジンはいくつか動いているが、まだまだ前途多難なようだ。

 ちなみに、伊達杏子は、いくら復活を狙ってもダメだと思う。あまりにもキャラクターイメージが完成されすぎていて、誰もマッシュアップに参加できないから。初音ミクではネットユーザーが適当にイメージをいじくって遊べる。しかし、伊達杏子では遊べないのだ。

2007.11.04

A-Bikeが壊れた(その3):組み立てる

 A-Bikeを組み立てる事自体は大して難しくない。すべてのネジにワッシャが入っているから、なくさないように注意することぐらいだ。


Chaincutter 今回、一次系、二次系共にチェーンを交換したが、これまた道具さえあれば簡単だ。一次系のシマノのチェーンは、シマノ製のチェーンカッターがあれば、簡単に切断できる。新しいピンを押し込んでの結合も、同じチェーンカッターで行える。ピンはチェーンを買えば附属しているが、ピンだけを購入することも可能だ。
 二次系は、専用のチェーンカッターで切断し、結合専用のコマでつなぐ。


Prichain 上がオリジナルの中国製?チェーン、下がシマノの8段変速用チェーン。手に持つとコマの動きが違う。シマノ製のほうがずっとなめらかだ。きちんと計測したわけではないが、重量もシマノ製のほうが軽いようだ。二次系の細い25チェーンも、椿本製のほうが軽かった。チェーンを交換することで、若干の軽量化も期待できる。


Cleaner 組み付ける前に、ギアはきちんと清掃した後に注油しておくこと。清掃には自転車専門店にある専門の清掃剤を使うと速いし確実だ。オイルも適当なミシン油や自動車・バイク用のものではなく、自転車専用のオイルを使おう。

 組み上がったら、テスト走行だ。しばらくの間はネジのゆるみに気をつけよう。乗るたびに毎回点検したほうがいいだろう。

 かくして私のA-Bikeは復活した。

 チェーン交換の効果は大きかった。明らかにペダルとタイヤの回転がスムーズになり、乗り心地が向上した。オリジナルが使用している中国製らしきチェーンは、性能的に足を引っ張っているらしい。

 チェーンのような基本的な機械要素は、設計と製造のノウハウが性能に直結する。進展著しい中国の機械工業だが、基本的な部分はまだまだこれからのようだ。

 思わぬトラブルではあったが、色々と面白かった。香港とのメールのやりとりも楽しめたし、A-Bikeを分解して設計を見ることもできた。

 自分としては完全に元を取った気分である。

 さて、今回のことで分かること。

  • 多少の面倒さを気にしないのならば、並行輸入品購入もありだ。壊れても部品さえ入手できれば直せる。
  • 逆に極力面倒を避けたいなら、正規輸入品を買うしかない。
  • チェーンはできれば交換したほうがいい。
  • 自分で修理するなら、必要な工具やケミカル類を惜しむべきではない。特にチェーンカッターのような専用工具は、よほど腕に自信がある人以外は是非とも買うべき。

 そして、とても大切なこと。

  • 大抵のことは、面倒がらずに自分でやってみると、意外に楽しい

2007.11.03

A-Bikeが壊れた(その2):観察する、調達する

Staedgear2


 A-Bikeの続き。

 香港にメールを出すと、すぐにルイスという署名の入ったメールが帰ってきた。

曰く"We will check and advise shortly. Thank you."(調べてみるよ)

 ということなので、まずは返事を待つことにする。その間に分解したA-Bike駆動系の観察だ。

Stagedgear 実際、駆動系は本当にぎりぎりの設計をしているなという印象である。

 1次系のギアは、14歯(T)と8Tだ。8Tというのは、チェーンで使える限界まで小さなギアではないか。
 自転車部品の業界最大手、シマノの小径車用のコンポーネント(フロントとリアのチェーン駆動系全体のことを指す)「カプレオ」は、リアの最小ギアが9Tだ。通常の自転車用コンポーネントだと最小11Tである。

 2次系も、リアタイヤ側のギアは9Tと、ぎりぎりの小ささを選んでいる。小型軽量化のために、可能な限り歯の数が少ない、小さなギアを選んでいるようだ。

 ギアには耐摩耗のための熱処理を一応施してあるようだ。それでも歯を観察すると摩耗が始まっている。知人の機械技術者に見せると、「高周波焼き入れはしていないようですね」ということだった。

 回転部分はすべてメタル軸受けではなくベアリングが入っていた。中間軸などは、荷重のかかり方を考慮してだろう、右端はベアリングひとつ、左端はベアリング2つで力を受けるようになっていた。予想通り、いやそれ以上にA-Bikeは考え抜かれた設計をしている。

 2次系に使われている細いチェーンは、調べてみると1/4インチピッチの「25」という規格品だった。エンジンのカム駆動や、ゴーカートの駆動系などに使われているらしい。

25chain2 チェーンの質はお世辞にも良くない。中国製らしい分厚いプレートのぼったりとしたチェーンが使用されている。しかも妙に動きが渋い。これは交換したほうがよさそうだ(写真は25チェーン。左がオリジナル。右が東急ハンズで買った椿本製)。
 1次系は、シマノの標準品に交換することにする。シマノは8段変速までと9段、10段変速機のためにそれぞれ幅の異なる3種類のチェーンを出している。8速用チェーンは幅が太く、10速用は細い。重量面では10速用の方が軽いが、ギアの歯が分厚いことから8速用チェーンを用意した。自転車屋に聴くと、シマノのチェーンはどうやら台湾製らしいとのこと。

25chain_2 細い25チェーンは、東急ハンズであっさり見つかった。椿本製の国産である。オリジナルは「25H」というプレートの分厚い引っ張り強度の高いチェーンが付いていたが、まあ国産なら強度的に余裕があるはずだから大丈夫と、あまり根拠もなしに通常の25チェーンを使うことにする。
 ちなみに椿本のチェーンは全量国産だそうだが、以前椿本を取材した経験のある知人によるとプレートのための鋼材は、韓国のポスコ製を購入していたとのこと。

 台湾も韓国も日本も、国際分業が進んで、垂直方向で見ると一蓮托生になっているのだった。

 ここで困ったのは、チェーンを必要な長さに切るチェーンカッターだ。チェーンはコマをつなぐピンを押し出して抜く、チェーンカッターという専用工具で切断する。

 自転車用のチェーンカッターは持っているのだが、25チェーン用のものは持っていない。東急ハンズの店員は「チェーンの頭をグラインダーで削ればOKですよ」というが、駆動系に傷を入れる可能性のあるようなことはあまりしたくない。こういうときは専用の道具を使うかどうかで結果が大違いになる。ここは多少高くとも専用のチェーンカッターを入手すべきところだろう。

 色々探し回り、モノタロウという工具専門Webショップから、25チェーン用のチェーンカッターを購入した。専用工具を捜して専門店を巡り歩く手間がはぶけたのは非常にありがたい

 あれこれ、準備をしているうちに、香港のルイスから返事が返ってきた。

"Just received call from our production manager and found out that the replacement wheel will cost you US$23 per unit plus shipping cost of US$15 via speedpost. "

 部品は25ドルで送料が15ドルとな。

 本当はギアが割れるなんてのは設計ミスか、製造ミスのどちらかだろうと思う。「保証期間はどうしたあっ」と、暴れたいところではあるが、まあ5000円以下ということもあるし、この値段を受け入れることにする。ここで部品を入手できないと、困るのはこちらである。

Since our website does not have this part listed so the most efficient way for you to order this part will be by putting through an order of "one unit of Inner tube" (Total sum will come to US$37) and pay by credit card."

 はあ?

 なんで私がお前さんとこのWebショップでタイヤチューブを買わねばならんのだ?

 ちゃんとメールを読めば良かったのだが、流し読みで前段を見落としてしまった。ルイスに「こっちが必要なのはタイヤチューブじゃなくてギアだ。なにいってんだかわかんねーぞ」というメールを送る。

 するとルイスから"We understand your broken part (gear) from the pictures you sent us. We just have different part name to it."と帰ってきた。

 そうか、37ドルの部品をオーダーすれば、値段は同じ(実際には38ドルだがまけてくれるということだろう)ということで、こっちの必要な部品を送ってくれるということか。

Package2 早速手続きをすると、数日で、香港から部品が届いた。

 ギア割れの対策をしたものを送ってくるかと思ったら、前と寸分違わぬ部品を送ってきた。
 少々不安ではあるが、これを取り付けるしかない。

 さて、組み立てようか。

 で、続きます。

2007.11.01

A-Bikeが壊れた(その1):分解する

Gearchain

 あれは8月の末だった。A-Bikeを東京に持ち出し、三鷹から調布、吉祥寺あたりを走り回り、帰宅したまさにその時、「ごりっ」という感触と共に突然ペダルが回らなくなった。


Crank もともと「トラブルがあれば、それを楽しむ」ということで入手したA-Bikeである。「それっ」てなもんで、部屋に持ち込んで分解してみる。


Wheelshaft
 駆動部分の分解そのものは大して難しくはなかった。ペダルを外し、後輪シャフトを止めているボルをを外し(左側が逆ネジなのに注意
)、六角レンチで駆動部分のカバーを止めているネジを緩めてはずせば、あっさりと駆動部部分に到達できる。

 するとチェーンとギアが噛み込んで外れなくなっていた(冒頭の写真参照)。おや?ギアが噛み込むというのはどうしたことだろうか。チェーンの質が悪くて伸びてしまい、ギアに噛んでしまったのかと思い、定番潤滑剤のCRC-56を吹いて引っ張ったがとれない。

 mixiの日記に「取れないよ」と書いたらエンジニア系の知人から、「そういうときは暖めるのだ。バーナーであぶれ」というアドバイスを貰った。ギア類は焼き入れがしてあるからなあ、と、少々ためらったが、ともあれ外れないことには、どんな処置も施しようがない。意を決してキャンプ用のガスコンロを出してあぶったところ、あっさり外れた。

 …むむ、これは。

Gear1


Gear2 なんとギアが割れていた。


Powertrain A-Bikeはペダルの回転を2段のチェーンで増速している。最初の第1段チェーンは、通常の自転車と同じチェーンが使われており、2段目はより細いチェーンを使用している。その第1段目、中間軸についた8歯(以下Tと略記する)のギアが根本から完全に割れていた。

 こうなるとお手上げだ。部品を入手しなくてはならない。

 私のA-Bikeは、Mさんという方から譲り受けたもの。Mさんは、発売初期に香港の通販サイトから、A-Bikeを買っている。

 これは部品の入手は結構面倒かも知れない。

 まあ、その面倒さも含めて、楽しいことになりそうだ。半分面倒。半分わくわくの気持ちで調べ始める。

 まずは、日本代理店の大作商事のページを見る。するとちゃんとパーツリストが掲載されているが、部品名からはどの部品を入手すればいいのか分からない。パーツのイラストぐらい置いてあってもよさそうなものだ。

しかも「※お買い求めは弊社発行のシリアルNoが必要になります。保証書をお手元にご用意の上お電話ください。」などということが書いてある。

 これはあぶないなあ、と思いつつ大作商事に電話する。案の定「うちでは、うちから出した製品にしか部品を売っておりません」という返事が返ってきた。

 大して驚くことでもない。そもそも総代理店とはこういうものだ。

 20年ぐらい前、Mac初期やDOS/V初期には、この手の小さな代理店が秋葉原にいっぱいあった。アメリカのメーカーと契約し、「日本語化しました」と称して向こうの価格の2倍ぐらいの値段でパソコンの拡張機器やら、ゲームソフトやらを売っていたものだ。日本語化の中身は、向こうのマニュアルの粗末な日本語訳がコピーでくっついてくる程度だった。「バージョンアップも通知します」などとやっていたところもあったが、来た試しはなかったな。

 自動車のようなサービスに手間のかかる大物ではないのだから、修理用部品ぐらいじゃんじゃん供給して知名度と好感度を上げたほうが得だと思うのだが(修理用部品の一手供給の契約でも結べば、儲けも増えるだろう)、どういうわけか彼らは「独占」というところにこだわる。逆に言えば商売の基盤が、あやふやな「独占」ぐらいしかないことを理解しているのだろう。

 では、どうすればいいか。

 かつては、アメリカのショップと直接ファクシミリをやりとりして、パソコン用品を海外通販で手に入れたものだ。同じ事をすればいい。

 かくして私は、MさんがA-Bikeを購入した香港のサイトに英語のメールを送った。英語だからと気後れする必要はない。日本人なのだから英語が下手なのは当たり前なのだ。ましてや相手は香港の中国人である。


Gear4「わたし日本人ある。お宅から買ったA-Bikeこわれちゃたよ」と、破損場所のデジカメ画像を添付してメールを送ったのは、9月の初めのことだった。
 電子メールは便利だ。画像を添付すれば、どこがどう壊れたのか、部品の名前を知らなくとも相手に伝えることができる。

 というわけで、以下続くのです。

2007.10.31

便利だよ、A-Bike

Longbow
Type90



 以前書いたA-Bikeに関する記事は、かなり注目を集めているようで、今でも一日10件程度は、A-Bikeで検索した方が、当blogにやってくる。

 ちと高いが、国内代理店の大作商事からの販売も始まり、それなりに注目を集めるようになったからだろう。

 私はといえば、便利にA-Bikeを使っている。ちょっと出かけるのにも使うし、東京まで持ち出して走るのもなかなか楽しい。5kg台という軽量設計と、駅でごく短時間に折りたたむことができるというのは、大変大きなメリットであると痛感している。

 が、実のところ、A-Bikeで一番便利さを感じたのは、自動車でイベントに出かける際だった。

 大きなイベントでは駐車場が会場から離れている場合が多い。そこで、会場近くで同行者を降ろし、ドライバーのみが駐車場に車を回してから、A-Bikeで会場に駆けつけるという手法を試してみたところ、これがなかなか便利だったのだ。

 一番便利に思ったのは、8月に富士の演習場で行われる、陸上自衛隊の総合火力演習を見学に行った時だった。総合火力演習では抽選で駐車場を確保できるが、これが見学場所からかなり離れている。
 この時は知人の自動車に乗せて貰って会場入りしたのだけれど、A-Bikeも持っていき、ドライバーは駐車場からA-Bikeで見学場所入りした。

 小さく畳めるので、ごったがえす見学場所でも邪魔にならない。他の折り畳み自転車なら、「どけろ」とクレームが来ただろう。

「いやあ、歩くより全然楽でしたよ」とは、ドライバー氏の言だったが、真の威力は、帰りに発揮されたのだった。

 演習終了後、集まった見学者が一斉に帰宅することになる。通常ならば、駐車場まで歩いて、自分の車に乗るわけだが、それだと他の人たちと同じタイミングで駐車場から出ることになる。演習場近辺の道は決して広くない。渋滞するのだ。

 ところが、ドライバーだけ先にA-Bikeで先行していると、道が空いているうちに駐車場をでることが可能になる。そのまま見学場所まで自動車を回して、全員をピックアップ、渋滞にぶつからずに帰ることができた。

 A-Bikeのおかげで、今年の総合火力演習はとても楽だった。

 実際問題としてA-Bikeは軽くて小さく畳めるので、自動車にいつも常備しておくという使い方もありだと思う。ただし、その場合もタイヤの空気圧には注意する必要があるだろう。6インチの小さなタイヤは、空気が抜けやすい。

 このように、便利に使っているA-Bikeだが、トラブルもあった。次回はそのことを書こう。

 写真は総合火力演習の様子。



楽天でA-Bikeを捜してみると、5万8800円〜4万2000円で買えるようだ

 おそらく5万8800円というのは、大作商事を通して入ってきた正規輸入品で、4万円台のものは並行輸入品だろう。モノとしては同じなので、大作商事を通すことで2万円ほど値段が上がっているということである。

 後で書くが、並行輸入品はパーツの入手が若干面倒になる。消耗品や破損部品などの入手を考えると、正規輸入品のほうが安心ではある。

 が、この手の輸入代理店がどこまで責任を持ってくれるかと言えば、これまた分からないところだ。売るだけ売って、扱いをやめてしまう例もある。

 なお、「A-Bikeタイプ」「A-Ride」などの名前で売っている1万円台のニセモノは、間違っても買ってはいけない。自分で分解してみて分かったが、A-Bikeは本当にぎりぎりの設計をしている。材質粗悪なニセモノは、耐久性に劣ることは確実だ。

 乗車時に壊れれば、場合によっては命に関わることだってありうる。命が惜しければ、本物を買うこと。

2007.05.20

食の極端を極める

「極」が重なった変てこなタイトルだが、別にあの親子の「究極」とか「至高」には関係ない。そういえばビッグコミック・スピリッツも長い間読んでいないが、彼らの献立は少しは確定したのだろうか?

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 19日、週遅れの母の日ということで、母と我ら兄弟で、葉山の日陰茶屋に行く。
 出てくるのは、一目で手間のかかっていることが分かる小鉢料理。ひとつ出てくるたびに、「おいしいねえ」と言いつつ頂く。

 質の良い季節の食材を選び、一手間を掛け、一つの食器に一つの料理を盛りつけ、流れるように給仕する。和食は手間を食べるという言葉通りの一席。
 がつがつ食うのではなく、心静かにゆっくりと食べる、幸福な時間。

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 20日、お台場海浜公園に、6インチタイヤの小径車のオーナーで集まり、乗り比べをする。A-Bikeも、Handy-6も、KOMAも、それぞれに性格が異なり、なかなか面白い。

「ハンバーガー食おうぜ」という話になって、KUA`AINAの「アボガドバーガー1/2ポンド」を食べる。
 佐世保バーガーは食べたことがあるが、ハワイアン・バーガーは初めて。「いや、もっとでかい立川バーガーってものもあるんですよ」などという話を聞きつつ、がつがつ食う。

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 これとマクドナルドのハンバーガーを一緒にしてはいけない。マクドナルドのハンバーガーに挟まっているのは「マクドナルドのパティ」であり、「肉」ではない。
 KUA`AINAのバーガーに挟まっているのは、まごうことなき「肉」だ。分厚い、炭焼きのハンバーグ・パティ。中はレア。噛むと肉の脂が口の中に広がる。

 問題は、味付けが基本的に付属のチューブに入ったケチャップとのマスタードだということ。この味が単調で、食べきる頃には「すいません、しばらくは食いに来ません」という気分になる。

 自転車と巨大ハンバーガーで満ち足りた気分になり、東海道線で帰る。茅ヶ崎の駅を降りると、やや、もう腹が減っているではないか。

 ふらふらと吉野家に入り、「豚丼並卵」を注文する。

 ここんところ、野尻ボードでジャンクフードな話題をしていたからかも知れないが、久し振りに学生の頃やっていた、ジャンキーな食い方をしてしまう。

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 まず生卵を肉の下のご飯と念入りに混ぜる。次いで紅ショウガを山盛りにし、さらにその上から思いっきり七味唐辛子をかける。

 最後にこれを肉ごとぐりぐりとかき混ぜ、すべてをぐちゃぐちゃに混ぜ合わせてかき込む。途中で、遠慮無く紅ショウガと七味唐辛子を追加する。

 「船が7分に海が3分」ではないが「米が7分に紅ショウガが3分。七味唐辛子数知れず」ぐらいに混ぜるのがコツ。もちろん、がつがつと短期決戦水際防御でかき込むのである。

 ああ、日陰茶屋から大分遠くに来ちゃったなあ、と思いつつ、今、胸焼けをかかえてこの文章をかいております。

 ぐええ…