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カテゴリー「グルメ・クッキング」の30件の記事

2010.08.21

種子島のロケット焼き

Okonomiyaki
 丸の内のはやぶさカレーうどんで思い出したので掲載する。

 写真は南種子町の広島風お好み焼き屋「安兵衛」のロケット焼き(700円)。なぜロケット焼きかというと、打ち上げ責任者だった頃の五代富文元NASDA副理事長(おそらく1980年代、H-Iを打ち上げていた頃のことだろう)がこの店に来て、「とにかく全部具を入れて!」と注文して出来上がったメニューだからそうな。だから、マヨネーズで書いてある星模様は、陰陽師の使う道満晴明の紋…ではなく、ロケットを象徴する星のマークなのだ。

 確か安兵衛に初めて入ったのは、1995年3月のH-IIロケット3号機の取材の時だったはず。あの頃は狭い小さな店で、注文も会計もアバウトそのもの。頼んだのと違うメニューが出てきても、おつりが多少違っても気にしないという店だった。確か500円以上のメニューがなかったと記憶している。
 棚には宇宙センター関係者がキープしたらしき焼酎のボトルがずらーっと並んでいた。焼酎ブームで屋久島の芋焼酎が品薄になる前の話で、そのほとんどが屋久島の蔵元の「三岳」だった。あのブームのおかげで今は種子島の焼酎もぐっとおいしくなったが、あの頃は水の良い屋久島の焼酎のほうがずっとおいしかったのである(南泉は今や、当時が信じられないぐらい質が上がった)。
 その後安兵衛は店を建て替えて綺麗になり、鹿児島の方に店も出し、値段も相応になってしまった(残念!)が、それでも種子島に行くと一度は寄ってしまう店だ。

 当時は打ち上げが終わると、仕事から解放された打ち上げ関係者がジョイフルという居酒屋で声をからして徹夜で歌っていたものだが。センターを事実上三菱重工が仕切るようになった今、夜の事情はどうなっているのだろう。

 ああ、種子島行きたいなあ。次の打ち上げは9月11日にロケットまつりの特別版が三鷹であるので、行けないのです。

2010.08.18

はやぶさカレーうどんなど

Udon2
 隙を見て、丸の内に行ってきた。上は証拠写真、オアゾ5F古奈屋 の「はやぶさカレーうどん」。どのへんがはやぶさかは別として、おいしゅうございました。

 日本惑星協会のメールマガジン「TPS/Jメール」掲載の、的川泰宣先生の「YMコラム」、今号のNo.526は「はやぶさ2」の全容が姿を現しただ。はやぶさ2の詳細と、ライバルとなるかも知れない、アメリカの小惑星サンプルリターン計画「オシリス-レックス」を紹介している。

 直接はやぶさとは関係ないのだけれど、Twitterで紹介されたページ。


 太平洋戦争末期、あの硫黄島の戦闘に参加し、生還した方の手記だ。壮絶の一言に尽きる。

 何も言うことはできない。とにかく読んでもらえればと思う。

2010.08.13

8月13日、帰還2ヶ月目のはやぶさあれこれ

 今日ではやぶさの帰還から2ヶ月経った。まだまだ、はやぶさを巡る世間の動きは慌ただしい。

 8月15〜19日のはやぶさのカプセルが丸の内オアゾで公開されるのに合わせて丸の内一帯の商店では「おかえり、はやぶさ記念特別サービス」を実施する。


 はやぶさランチ、はやぶさステーキランチ、はやぶさショートケーキ、隕石おむすび、はやぶさシャトルドック、はやぶさジェラート、SpaceDrinkはやぶさ、はやぶさカレーうどん…ネイルバーでは「はやぶさ」クイックコースだ!

 大阪市立科学館が10月9日18時からプラネタリウムホールで「HAYABUSAナイト」を開催する。


 入場料1500円。チケットは8月24日(火曜日)から販売開始。

[内 容]
【第1部】
・全天周映像「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-」上映
【第2部】
JAXAの國中均教授、SF作家の野尻抱介氏、そして飯山学芸員を交えてトークを行ないます。
◇司会 山田竜也(宇宙作家クラブ会員)


 8月19日発売のCOMICリュウ(徳間書店)10月号に別冊ふろく「小惑星探査機はやぶさ」特集本が付く。アマゾンで予約が始まった。


慌てて紹介。8月19日発売の COMICリュウ別冊フロクは「小惑星探査機はやぷさ」特集本です。マンガは「出発篇(永井朋裕)」「トラブル篇(とり・みき)」「帰還篇(安堂維子里)」の3本と、あさりよしとお&開田裕治対談、野尻抱介寄稿、表紙は速水螺旋人です。敬称略。

 宇宙関連でマンガ雑誌が特集を組むというのは、それこそアポロ計画以来ということになるのだろうか。

2010.07.09

此機宇宙翔千里

 今日はあまり時間がないので写真を2枚ほど。

Mv


 この写真は、はやぶさを打ち上げたM-V5号機。打ち上げ取材時に、確か関係者の誰だったから「宇宙作家クラブニュース掲示板で使って」とデータをもらってそのまま未使用だったもの。時間も経っているし、まあいいか、で掲載する。
 見ての通り、M-Vの上半分だが、注目点は、ランチャーから探査機を覆うフェアリングの横につきだした昆虫の触角のような部品だ。
 これは実は打ち上げ時のフェアリング周辺の振動・音響を計測するセンサーである。この写真では見えないが、反対側にも同じセンサーが付きだしている。M-Vロケットの振動で、打ち上げ時に探査機にかかる衝撃波のことを書いたが、まさにそれを計測しているわけだ。

P1010531
 ご存知、性能計算書の表紙。毎回酒やらタバコやらのパロディになっていて、M-V5号機/はやぶさ打ち上げの際は、清酒「虎之児」(井手酒造、佐賀県)のラベルをもじったものになっていた。
 性能計算書とは何か、どのようにしてこの遊びが成立したか、そして歴代の性能計算書表紙などはISASニュース2007年1月号(pdf)で紹介されている。

 こんなページもある。

 リングに上るボクシングの選手のように、打上げを前にした科学衛星は、発射場の内之浦に着いてから最後の計量を済ませる。できるだけ新しい重量データを使いたいために、ロケットと衛星の軌道計算(性能計算書)は、他のシステムの『実験計画書』よりも一足遅れて独立の小冊子として編集される。

 毎回の仕掛け人は的川泰宣対外協力室長で、きちんと蔵元の了解まで取ってアイデアを出すと、オペレーション班の周東三和子さんがフォトショップの技術の限りを尽くして表紙を作成するという協力体制が成立していた。今はお二人とも定年となり、はたして今後この伝統が続くかは分からない。

 が、周東さんは帰還に合わせて、新しいラベルを用意したのであった。

 宇宙研元OP(オペレーション)班の周東さんが、はやぶさの帰還にあわせて、あの性能計算書(※1)をバージョンアップしてくれました。  以下、周東さんの弁

『私たちが送り出した「虎之児」が7年ぶりの寅年に戻ってきます。
そこで性能計算書の表紙のニューバージョンを作りました。
お酒はもう予約しました。送り出した時と同様、このラベルに貼り替えて出迎えたい。』

 そして、なんとも素晴らしいことに、今回、はやぶさの帰還を祝って、蔵元の井手酒造が、特製ラベルの虎之児を販売している。

材料名キセノン、此機宇宙翔千里、回収は4年経ってから、開栓には十分注意して下さい、川口酒造有限会社

 宇宙関係の広報で、「どこまで行ったら成功といえるのか」という議論があるが、一つの判断基準として実際の経済活動として回るというのはあるだろう。宇宙開発へのサポートとして成立し、なおかつお金もまた回っていくという形になれば最高だ。

 まだ、特製ラベル「虎之児」は在庫があるようだ。次の祝杯があるなら、カプセル内から回収された微粒子中に、イトカワ由来のものが見つかった時だろうか。

 
注(7/10 0:05):初出で井手酒造が、井出酒造になっていました。お詫びし、訂正いたします。

2008.04.08

書籍紹介:「日本の『食』は安すぎる」(山本謙治著)

 やまけんの新著が出た。本人blogによれば売り上げ好調のようで、すでに再重版までかかったという。私のとやまけんの関係は、以前書いた通り

 本書の主張は単純だ。「安全で、おいしい食にはそれ相応の生産コストがかかる」——これだけである。やまけんはこの事実を消費者に突きつける。「安くて安全でうまい食を求めるなんて、それは虫がよいというものだ」。そう、安い食事には、かならず安さを実現するための裏があるのである。

 彼は、自ら農業を実践し、社会に出てからは日本全国の食料生産の現場を巡り、その上でこう考えるようになったのだろう。本書の大部分が、彼が巡った生産現場のレポートであり、どの現場の状況からも、安さを求める消費者からの圧力に応じようとして応じかねている苦悩が見えてくる。

 私も以前こんなことを書いているし、この主張には完全に同意する。

 これは想像力の問題だろう。

 地場のナマのほうれん草よりも安い冷凍ほうれん草には、それなりの裏があるに決まっている。ほうれん草を茹で、切りそろえ、冷凍し、パックするコストはどこに行っているのか——素材のほうれん草へとしわ寄せされているわけだ。

 かつて400円以上した牛丼を200円台で提供しようとすれば、それなりのコストダウンがあると想像するのは難しくない。

 ファストフードのハンバーガーのパティに、どれだけのコストがかけられているのか。自分で牛肉を買って作るハンバーグと比べれば、いくら、大量仕入れによるスケールメリットがあるとしても何かの仕掛けがあると思わざるを得ない。

 彼は問いかける。「おいしさも安全もタダではありえないのですよ」と。

 私には、その深層にはもっと大きな構図があるような気もする。

 牛丼が値下げ競争を始めたたしか1999年頃だったか、大学時代との友人と飲んでいた時のことだ。飲み屋のテレビでは、値下げした牛丼のニュースが流れていた。街頭インタビューを受けたサラリーマンが「やっぱり安いのはいいですね」などと答えている。

「こいつはバカか!」不意に友人が毒づいた。
「物価が下がるということは、次に賃金引き下げが起きるということだ。これは経済学の常識だよ。この男…」と、画面を指さし「自分の給料が下がることを喜んでいるんだ。バカだ、こいつ」

 彼は続けた。「これから、こういう連中の給料がどんどん下がっていく時代が来るんだ」

 経済学部出身の友人の毒舌を、私は「そんなもんか」と聞き流してしまったのだけれども、その後友人が予言した通りの時代となった。正規雇用は臨時雇用へと崩壊し、さらには法の網をかいくぐる偽装雇用まで発生、賃金は低下した。

 賃金が低下しても人は食べて行かなくてはならない。低賃金に陥った人々の食生活を、やまけんが憤る「生産者にしわ寄せを持っていく」格安の食品が支えていたのではないだろうか。

 一昨年から昨年にかけてキヤノンやら松下やらの偽装雇用が発覚した(この件に関して、私はこんな書評を書いている)。つまるところこれらの企業は、第一次産業からの収奪の上に収益を上げたということになるのではないだろうか。

 ここしばらくやまけんは、「食い倒ラー」として名前を売っていたけれど、この本でやっと本来の——私にはこっちが本来の顔だと思える——真摯に日本の食を考え、現状を訴える行動者としての側面をあらわにした。

 そうだ、やまけん、語れ。本当は僕らはどんなものを食べるべきなのか、どんな食生活が豊かな食生活なのか、未来に向けてどんな食文化を保持していくべきなのかを。


2007.09.24

野菜炒め大実験

 以前、ジャンクフードの定義を試みたが、今回はその続き。

 前回、最後にジャンクフードの定義における「過度」を適度に書き換えると、ヘルシーフードの定義となる、という話を書いた。自分の書いた文を引用してみると、

上記のジャンクフードの定義から、「過剰」を抜いて、代わりに「適度」と入れてみよう。

・炭水化物を中心に
 1)適度の塩分と油脂で味付けされた食物
 2)さらにそれらに
   a)適度なアミノ酸
   b)肉、チーズなど適度なタンパク質
   c)適度な香辛料
  の一部、ないし全部が付加された食物

・タンパク質を中心に
 1)適度な塩分と油脂で味付けされた食物
 2)さらにそれらに
   a)適度なアミノ酸
   b)適度な香辛料
  の一部、ないし全部が付加された食物

途端にヘルシーフードに早変わりする。二郎ラーメンのようにこれに適度の野菜が加わるならば、けっこうな健康食だ。

 主題はヘルシーフードとジャンクフードの定義は何故似ているのか。実はここ数日の食事で実験をしていたのである。

 実験材料は、キャベツともやしだけの野菜炒めだ。要するにキャベツを玉一つ買ってしまったので、もやしと合わせて食べ尽くそうとしたわけ。ついでに実験もしてしまえと考えたのだ。

 キャベツともやしをごま油で炒める。このままでは野菜と植物性油脂だけだ。当然まずい。

 そこで味付けする。塩を入れると一応食べられる味になる。物足りないのでコショウを振りかける。ますますおいしくなる。

 適度なアミノ酸を求めて、塩の代わりに醤油を使ってみる。これもいい。

 ここまでで欠けているのは、タンパク質と炭水化物だ。豚肉の細切れを入れると、いっそうおいしくなる。思い立って、油揚げを細切りにして入れてみると、これもなかなかいける。

 次に炭水化物として、炊いたご飯も少しいれてみた。悪くない。野菜主で米が従のチャーハンみたいになるが、ごま油と合っておいしく食べられる。

 では異なるタンパク質はどうか。味付けを塩コショウにして、チーズをちぎって入れてみた。ナチュラルチーズを使いたいところだが、お手軽にコンビニで買ったプロセスチーズを使った。

 うまいっ。味にこくがでる。チーズはタンパク質でもあるしアミノ酸でもある。なるほどなるほど。

 ややリゾット風になったので、次はもう少し工夫してみる。米の代わりに手元にあったせんべいをちぎっていれてみた。

 これまでで最高の味になった。食感も、もっちりしたチーズにぱりぱりのせんべいが加わって意外なぐらいに良好だ。

 なぜ、このような料理を美味しく感じるのか。その原因は当然生物進化に求められるべきであろう。野菜炒めは、塩分、香辛料、アミノ酸、タンパク質、炭水化物を加えることによって、より生体を維持するのに適した食事になったのだ。

 つまり我々は、より的確に必須栄養素を的確に摂取できる食事を美味と感じるのである。

 そう考えると、なぜジャンクフードがおいしいかも理解できる。つまり、ジャンクフードは我々が本能的に持っている「より生体を維持するのに適した食事をおいしいと感じる性向」に対する超正常刺激なのだ。

 この次の段階としては、野菜炒めをベースに過剰さを付け加えて、ジャンクフードを作るということが考えられるだろう。

 いずれやってみよう。

 なお、この実験は、あくまで個人的なものであり、これにより何かを主張するものではない。「対照実験は?」とか「二重盲検は?」とか「条件が一定になっていない」「サンプル数が少なすぎる」といった疑問や批判は却下である。というか実験そのものが、批判に値しない。はい、自覚しております。

 で、当面野菜炒めはもういいやというのが、オチでありました。

2007.09.08

きさくの燃麺を食べる

 色々書きたいことは多いのだが、まずは気楽なところから。

 以前も紹介した広島の汁なし担々麺の「きさく」(楽天内通販ショップ)だが、メニューを増やしている。

に、加えていつの間にか


が、メニューに加わっていた。

 この夏、燃麺を取り寄せて食べたのだが、これがなかなか良い。

 きさくの汁なし担々麺は辛くておいしいのだが、私のような辛党には一つ問題があった。がつがつとあっという間に食べてしまいがちなのだ。楽しんで食べることがなかなかできないのである。これは極辛汁なし担々麺であっても同じであった。極辛といいつつ、食べる勢いを押しとどめるほどは辛くないのである。

 ところが、この燃麺は、本当に辛い。がつんと来るほど辛い。一口食べると、しばし箸を止めないとたまらないほどに辛い。

 しかもうま味は通常の汁なし担々麺と変わらない。

 これをがっつける人は、よほどの辛党だろう。少なくとも私にはできない。そしてこれならしっかりゆっくりと味わいつつ、なおかつ強烈な辛味も楽しむことができるのである。通常の汁なし担々麺よりちと高いが、それだけの価値はある。

 これはいい。葱を刻んで半熟卵を落としてまず一杯。残った汁に白いご飯を入れて、さらに一杯。今年の暑い夏、実に楽しめた。

 ここの担々麺は唐辛子の辛味だけではなく、ちゃんと山椒の「麻」の辛さ効いていて、しかもうま味も感じるというのがよろしい。基本的にジャンクな食べ物であり、毎日食ってはいかんと思うのだけれど、それでも私は好きだ。

 と言う訳で、辛党の皆様、お薦めですよ。

こちらは、燃麺2、通常の汁なし担々麺2のセット(2250円)。「さすがに燃麺4食セットを初めて買うのは怖い」という人向けだろう。

 なお、楽天の通販を使う時には、申し込みページの一番下にあるダイレクトメール受け取りのチェックを必ず外すこと。これまた以前書いたが楽天のeメールマーケティングは、相変わらず稚拙で、ユーザーの反感を買うようなことを平気で続けている。いい加減、メール不要をデフォルトにすべきなのだが、態度を改める様子はない。

2007.05.20

食の極端を極める

「極」が重なった変てこなタイトルだが、別にあの親子の「究極」とか「至高」には関係ない。そういえばビッグコミック・スピリッツも長い間読んでいないが、彼らの献立は少しは確定したのだろうか?

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 19日、週遅れの母の日ということで、母と我ら兄弟で、葉山の日陰茶屋に行く。
 出てくるのは、一目で手間のかかっていることが分かる小鉢料理。ひとつ出てくるたびに、「おいしいねえ」と言いつつ頂く。

 質の良い季節の食材を選び、一手間を掛け、一つの食器に一つの料理を盛りつけ、流れるように給仕する。和食は手間を食べるという言葉通りの一席。
 がつがつ食うのではなく、心静かにゆっくりと食べる、幸福な時間。

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 20日、お台場海浜公園に、6インチタイヤの小径車のオーナーで集まり、乗り比べをする。A-Bikeも、Handy-6も、KOMAも、それぞれに性格が異なり、なかなか面白い。

「ハンバーガー食おうぜ」という話になって、KUA`AINAの「アボガドバーガー1/2ポンド」を食べる。
 佐世保バーガーは食べたことがあるが、ハワイアン・バーガーは初めて。「いや、もっとでかい立川バーガーってものもあるんですよ」などという話を聞きつつ、がつがつ食う。

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 これとマクドナルドのハンバーガーを一緒にしてはいけない。マクドナルドのハンバーガーに挟まっているのは「マクドナルドのパティ」であり、「肉」ではない。
 KUA`AINAのバーガーに挟まっているのは、まごうことなき「肉」だ。分厚い、炭焼きのハンバーグ・パティ。中はレア。噛むと肉の脂が口の中に広がる。

 問題は、味付けが基本的に付属のチューブに入ったケチャップとのマスタードだということ。この味が単調で、食べきる頃には「すいません、しばらくは食いに来ません」という気分になる。

 自転車と巨大ハンバーガーで満ち足りた気分になり、東海道線で帰る。茅ヶ崎の駅を降りると、やや、もう腹が減っているではないか。

 ふらふらと吉野家に入り、「豚丼並卵」を注文する。

 ここんところ、野尻ボードでジャンクフードな話題をしていたからかも知れないが、久し振りに学生の頃やっていた、ジャンキーな食い方をしてしまう。

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 まず生卵を肉の下のご飯と念入りに混ぜる。次いで紅ショウガを山盛りにし、さらにその上から思いっきり七味唐辛子をかける。

 最後にこれを肉ごとぐりぐりとかき混ぜ、すべてをぐちゃぐちゃに混ぜ合わせてかき込む。途中で、遠慮無く紅ショウガと七味唐辛子を追加する。

 「船が7分に海が3分」ではないが「米が7分に紅ショウガが3分。七味唐辛子数知れず」ぐらいに混ぜるのがコツ。もちろん、がつがつと短期決戦水際防御でかき込むのである。

 ああ、日陰茶屋から大分遠くに来ちゃったなあ、と思いつつ、今、胸焼けをかかえてこの文章をかいております。

 ぐええ…

2007.04.16

ジャンクフードを考える

Jiroramen

 タイトルは「考える」であって「食う」ではない。念のため。

 昨年春、ほぼ四半世紀振りに「ラーメン二郎」のラーメンを食べた。

 その日は、神保町の出版社で打ち合わせが長引いたのだった。腹が減ったぞ、さあどうしよう、と歩き回ると、靖国通りから路地を入ったところに行列を発見した。「二郎神保町店」とある。

 一つの記憶が蘇った。学生最後の年の三田祭(そう、私は慶應出身である。ただし三田には学祭ぐらいでしか通わない理工学部生だった)、私は「最後の記念に食べておくか」と、まだ三田の四つ角にあった「二郎」本店の行列に並んだのだった。ところが行列はあまりに長く、別の用事が入っていたので、途中で列を外れざるを得なかったのである。

 見ると行列はそう長くない。よし、学生時代の妄執をここで晴らしておこう。私は行列に並び、二郎ラーメンにありついたのである。

 山のようにもやしが載ったアブラぎとぎとのラーメンを一口食べて、思い出した。「俺、これ食ったことあるわ」

 記憶はさらに遡る。大学に入った年、学祭の準備で先輩に連れられ、三田にやってきた私は、「三田に来たらこれ食わなくっちゃな」という先輩と共に二郎ラーメンを食べたのだった。不味いとしか形容しようがない味に「なんだこりゃ」と思った。
 ずっと忘れていたのだが、最初の一口でありありと、それこそ、脂で微妙に粘っている二郎本店のカウンターの手触りまで含めて思い出した。
 おお、プルーストの「失われた時を求めて」みたいじゃないか。


 二郎のラーメンについては、このあたりのページWikipediaの記述を参照してほしい。かつては三田の四つ角にあり、慶大生に絶大な人気を誇ったラーメン屋だ。場所こそ移動したものの、現在も三田で本店は営業しており、その他のれん分けの店が首都圏を中心に多数存在する。

 二郎のラーメンはとにかく盛りが良い。野菜がどんぶりにてんこ盛りになって出てくる。その味は脂ぎとぎと、化学調味料たっぷりの奇怪なものだが、くせになる習慣性を持つ。
 二郎にはまった者は「ジロリアン」を自称し、のれん分け全店制覇する者や、自宅で二郎の味を再現しようと研究を重ねる者(「家二郎」なる単語まで存在する!)など、多彩な活動を展開しているらしい。

 その他、勉強せずに卒論のネタに詰まった学生が、二郎のおやじさんにインタビューして「二郎ラーメンの来歴」を卒論代わりに提出して卒業したとか(驚いたことにネットにアップされている。これだ)、「ラーメン二郎」の商標を他者に登録されて名乗れなくなりそうになった時、慶大出身の弁護士が一致団結して無償で協力し、商標を取り返しただとか、二郎を巡るエピソードは尽きない。
 ジロリアン作と伝えられる「二郎はラーメンではなく、二郎という食べ物である」という言葉は、けだし名言であろう。

 さて、ここからが本題。

 四半世紀振りに二郎ラーメンを食べた私の脳裏で、ひとつの疑問がわき上がったのである。「二郎ラーメンは明らかにジャンクフードだ。ではジャンクフードとは何か?」

 Wikipediaでは「ジャンクフード(junk food)とは、エネルギー(カロリー)は高いが他の栄養価・栄養素の低い食べ物のこと。」と書いているが、二郎ラーメンがカロリー以外の栄養価が低いとも思えない。
 単にカロリーが高いことがジャンクフードの条件にすれば、氷砂糖なども入ってしまうことになる。

 昨年の夏から秋にかけて色々考えた末に、遂に私は妥当と思われるジャンクフードの定義にたどり着いた。キーワードは「過剰」である。

ジャンクフードの定義(松浦による、2007)
・炭水化物を中心に
 1)過剰な塩分と油脂で味付けされた食物
 2)さらにそれらに
   a)過剰なアミノ酸
   b)肉、チーズなど過剰なタンパク質
   c)過剰な香辛料
  の一部、ないし全部が付加された食物

・タンパク質を中心に
 1)過剰な塩分で味付けされた食物
 2)さらにそれらに
   a)過剰な油脂
   b)過剰なアミノ酸
   c)過剰な香辛料
  の一部、ないし全部が付加された食物

 この定義ならば、カップ麺や駅の立ち食い蕎麦や牛丼から、ビーフジャーキーや魚肉ソーセージに至るまでをカバーすることができる。
 すべての項目に「過剰」とあるところに注意して貰いたい。過剰さこそが、ジャンクフードのジャンクフードたる所以なのである。

 この定義に従うと、二郎ラーメンのジャンクフードとしての完成度が見えてくる。まず、中心となる炭水化物は自家製極太麺だ。醤油味で化学調味料たっぷり豚骨スープには、塩分とアミノ酸がたっぷり入っている。もちろん脂ぎとぎとで油脂は十分。「ブタ」と称する極端な厚切りチャーシューで過剰なタンパク質という条件もクリアする。「ニンニク」山盛りトッピングで、過剰な香辛料もオッケーだ。
 しかし、それだけに留まらないのが二郎ラーメンの恐るべきところと言えるだろう。「野菜マシマシ」のコールとともにトッピングされる山盛りのゆでたもやしとキャベツ。

 そう、二郎ラーメンには、「過剰な野菜」というもう一つの隠し武器まで装備されているのだ。すごいぞ二郎ラーメン、まさに無敵。最強のジャンクフードの名にふさわしい。

 そんな二郎ラーメンの欠点は、極太麺を茹でるため、作るのに時間がかかるということ。店の前にはいつも行列ができるので、熱烈なジロリアン以外は、なかなかその味に触れる機会がない。中毒患者を増やすのが困難なのである。

 ふ、そんなことでは世界征服に使えぬではないか。目指すはジャンクフードによる世界の食の蹂躙。手本はマクドナルド、と、昨年来「究極のジャンクフード」というレシピをつらつらと考え続けている。モデルは二郎ラーメンだ。これを短時間でサーブ出来るように改良すれば、世界のいかなる民族をも味で支配できるに違いない。
 わはははは、世界が我の足下にひれ伏す日は近いぞ。

 が、考えてみれば、ジャンクフードで生活習慣病ばかりの国民となった国を征服しても、大して面白くはないのだっだ。

 究極のジャンクフードレシピは、とりあえずは、レインボーマンの「死ね死ね団」あたりに、「日本を破滅させるにはこれっすよ」とフランチャイズ権として売りつけるのが適当なのであろう。


 なにやら話が妙な方向に向かってしまったが、気にせずまとめることにしよう。
 上記のジャンクフードの定義から、「過剰」を抜いて、代わりに「適度」と入れてみよう。

・炭水化物を中心に
 1)適度の塩分と油脂で味付けされた食物
 2)さらにそれらに
   a)適度なアミノ酸
   b)肉、チーズなど適度なタンパク質
   c)適度な香辛料
  の一部、ないし全部が付加された食物

・タンパク質を中心に
 1)適度な塩分と油脂で味付けされた食物
 2)さらにそれらに
   a)適度なアミノ酸
   b)適度な香辛料
  の一部、ないし全部が付加された食物

途端にヘルシーフードに早変わりする。二郎ラーメンのようにこれに適度の野菜が加わるならば、けっこうな健康食だ。

 つまりは程度問題であり、人間の脳は過剰に対して快感を感じるようにできているのだな、というまあ当たり前と言えば当たり前の話なのであった。

——我ながら詭弁っぽい話ではあるが、ともあれ昨年来ジャンクフードについて考え続けているのは事実。ちょっとばかり実験もしているのだけれど、その話はまた気が向いたら。

 写真はラーメン二郎神保町店のラーメン。

2006.06.06

広島で汁なし担々麺を食べる

 少々以前のことだが、5/19、20と仕事で広島に行ってきた。

 で、食べてきました。「きさく」の汁なし担々麺。

 ネットをさ迷っていて、某所で激賞する記事を見つけ、辛い物好きとしては食ってみなければいかんだろうと、楽天で4食セットを取り寄せたのは今年の1月の事。

 これがうまかった。

「辛い、うまい!」

 四川料理らしく唐辛子ではなく山椒の「麻」な辛さがつんと来る。「本場中国から山椒を初めとした香辛料を取り寄せた」という宣伝文句は伊達じゃない。ネギを山ほどかけて、半熟卵を載せて食べると最高。食った後に残ったソースに白ご飯をからめてたべるとまた良い。結局4食セットを、2食ずつ2日で食べてしまった。

 その後、あちこちで「うまいぞ」と勧めたものだから、一時期私の周囲は汁なし担々麺がちょっとしたブームとなった。

 こうなると「きさく」はどんな店なのか気になる。広島に行く機会があったら是非とも、と考えていたのであった。広島の友人達は一足先に偵察に行き、「やる気のなさそうなあんちゃんが、一刻も早く仕事から上がりたいような顔をして作ってますぜ」などという情報をよこしてくる。
 ますます気になる。



汁なし担担麺「きさく」

広島市中区舟入川口町5-13 佐々木ビル1F

Tel 082-231-0317

 「きさく」は広島中心部から少し離れた自動車通り沿いにあった。夜、わざわざタクシーを飛ばして行ったので、分かりずらかったがいかにも中華な店構えは昼間なら目立つのではないだろうか。

 大盛り卵乗せ、山椒増量で食券を買う。あんちゃんは、私がいった時にはそうだらだらはしていなかったな。カウンターには「がんがんかき混ぜて食ってくれ」という表示がしてある。もちろん従う。

 うまい。やはりうまい。山椒を増やすと、つんとくる「麻」の辛さがますます効いて素晴らしい。最後、どんぶりの底に残った汁でご飯でも、とご飯の食券を買ってカウンターに出すと、「店の隅にあります」と言われた。おお、巨大炊飯器がそのままどんとおいてある。ご飯盛りたい放題だ。

 満足しました。ごちそうさま。

 帰りは前線の通過で大雨になり、またもタクシーでホテルに戻った。たかが担々麺一杯に何をやっているのやらだが、それでも気分は痛快だった。

 基本的に、この汁なし担々麺は、ジャンクフードだと思う。ただ、通常のジャンクフードは過度の脂と塩味、あるいは過度の甘さで構成されているのに対して、こちらは、強烈な中国山椒がメインなのだ。健康への影響はどっちもどっちという気がするが、どちらを選ぶかといえば、私はためらわずに汁なし担々麺を選ぶ。

 辛い物が好きならば、一度は食べて損はないです。


・汁なし担々麺「きさく」楽天内通販ページ

:Web2.0の一環として楽天に「きさく」ショップへのアフィリエイトリンクを作ってみた。楽天のメールマガジンに関する態度は気に入らないのだけれど、まあとりあえずやってみるか、ということで。


・汁なし担々麺4食セット:2100円(税込み送料別)

:「ちょっと試してみるか」という方には4食セットをお薦めする。送料込みだとけっこうな値段になってしまうのが難点だけれど、辛い物が好きならそれだけの価値があると保証する。もちろん、気に入ったら10食セットを購入すればいい。賞味期限は一週間だけれど、冷凍保存は可能。だが、おそらく一週間もせずに食べ尽くすと思う。


・極辛汁なし担々麺2食セット:1050円(税込み送料別)

:多分、店で食べた山椒増量がこれだと思う。こっちもいけます。なぜか通販は2食単位のみ。

 なお、この他に「マイルド汁なし担々麺」もある。私は食べていないが、私の周囲における評判はあまりよくなかった。だいたい辛い物を食べるのだから、マイルドなどと言ってはいけないと思う。ひーひー言いながら、食うべし、食うべし、食うべし。